(監督/製作:坂口博信)
赤い靴〜履いてた〜女の子〜CGさんに連れられて〜いちゃった〜
今更改めていう必要もないが、最近のTVゲームの映像は凄い。で「こんなスゴイCGを大画面で観れば、さぞや面白いのではなかろうか」と思うことも多いわけである。 で、これだ。 確かにCGは凄かった。しかし、だから映画として面白かったかというと、首を傾げざるを得ない。 フルCGムービーであること自体を必要以上に意識していたつもりはないのだけれど、結局最後までCGであることが頭から離れなかった。話にノレなかったのだ。CGであることなどどうでもよくなるくらいの吸引力を話が持っていなかったということだ。
本来、映画は手法で語るものではない。にもかかわらず手法(映像の作り方)にのみ話題が集中するのは、ようするに話自体にあまり語るべきものが見いだせなかったせいではなかろうか。陳腐、とまでいうつもりはないが、RPGゲームにありがちなステレオタイプのストーリーで、盛り上がりに欠けるのはつらいものがある。“ファイナルファンタジー”という己の出自を意識しての(というかそのものなんだけど)展開。例えば、「アイテムを集めてまわる」というあらすじ的な部分から、「ここでこいつは死ぬ」というような先読み的な部分まで、あまりにもゲームのシナリオ的すぎるのだ。だからこそ、ゲームのムービーシーンをみせられているような気分が最後まで付きまとってしまう。
まあ、逆にいえば映像面からは、それは凄いの一言である。しかも、その見せかたもよくて、CGだからどんな角度からのカメラアングルもありなのだが、写実性を重んじてか、あえてアクロバティックな、例えばヘンにカメラをグルグルまわしちゃうような真似をしないのは好感が持てる。 もっとも、モーションキャプチャバリバリで、CGならではの味わいがまったくないという感想がないわけでもない。ここまで写実的にやってしまうと、実写でいいんじゃないのと思えたりもする。まぁ、出演料やSFX関係のコストを考えれば、けっこう安上がりなのかもしれないが。そこらへんのさじ加減というのはフルCG映画の今後の課題なのだろう。
いずれにせよ、話が面白ければどんどん可能性が広がっていくのになぁと思う百十分であった。