(監督:ゲオルギー・ダネリヤ)
パン、パン! クー!!
面白くてバカバカしくて、でも観終わった後、心になにかが残っている。残っているものを確かに感じる
奇妙なイマジネーションのつるべ撃ち。これぞセンスオブワンダー。SFとはまさにもういうものを指すのだ、と云い切ってしまおう。クー!
異世界に放り出された二人の地球人、てゆーかロシア人の目を通して、その星のヘンさ加減を描き出していく。ところか一見ヘンな世界のようにみえて、実はその世界の中では整合性がとれている(のか?)のだ。つまり世界観の構築がしっかりとできているということ。だからこそうわべだけの底の浅い“ヘン”ではなく、カルチャーギャップからくる“奇妙”として成り立っているし、ストーリー展開上の使える伏線にもなる。
なにより、生き生きと、そして生々しい(異世界の人々の生活力とか階級問題とか)異世界の様子がわかっていくことがに純粋に楽しい。SF魂に火が灯る感じを久々に経験した。
てなわけで、設定上はヘンじゃない。なんだけれども、その絵づらは単純におかしい。笑える。そういう理性的なバックと表面上の軽さのギャップも実に見事。
で、そんなこんなで、笑ったり驚いたりしているうちに話は進んでいく。で、いつの間にやら話にぐいぐいと引き込まれていて、珍道中を続けているうちに仲間意識の連帯感ができてきた4人組の行く末にハラハラドキドキしてたりもするわけだ。
そして、あの感動的な(そう、オレは感動していたのだ。そんな自分にビックリだが)ラストへつながっていく。
世界観については、まあ冷静に考えれば確かに旧ソ連体制の持つ比喩であることは明白なのだが、しかしそれが云いたかったテーマではないだろう、とオレは思う。純粋に異世界の不思議、ドキドキ感、それを伝えたかったのではなかろうか。実際、それだけで充分じゃないか。
観るべし! 笑うべし! 感動すべし!!
ビックリしたのは2部構成になっていること。そこにどんな意図が? ユニークすぎ! しかもそのインターミッションでキンザザの用語解説されてしまうのも実にヘンだ。そしてヘンさが大好きだ!