(監督:テリー・ツワイゴフ)
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・・・・
人生をなめていて、人生に冷めていて、だから斜にかまえて世の中を見ていて、そんな自分に無意識に焦れていて、そんな自分が嫌いで、でもどうしようもなくて...
さえない一人の娘が、遊び半分からかい半分に風体の上がらない中年男と係わっていくうちに、ようやく自分に正直になることを知り、大人になっていく。と、そんな話ではあるが、それがけして感動の青春グラフィティではなく、結末は、ほろ苦いどころかあまりにもやるせなさのみが残る。
いくつかのチャンスを自分に正直になれず(いや、不正直に、というか世間と折り合いをつけようとせずに)手からこぼれ落ちていってしまう。自分の気持ちに気づいたときにはすでに遅く、とりかえしのつかないものとなってしまっている。生きることの難しさといってしまえる程、大人になっていない者にとって、要領よく振る舞うなんて無理なのだ。観ていてせつない。痛い。
だからこそラストでは、なにがしかの救いがあってほしかったし、少なくとも逃げてほしくはなかった。人には逃げることも必要だが、それは全てを捨てて消えていくことではなくのではないだろうか。