(監督/脚本:アラン・ベルベリアン)
やられ損
おフレンチなサイコミステリー。おフレンチってのがどういう感じなのかはわかりませんが、カタルシスを前提としたハイウッドスタイルとは少々趣が異なってはいた。だからといって、高尚だとか芸術的とかいいたいわけではなく、むしろ逆で問題解決の爽快感とも現実直視のリアリズムともいえない、どっちつかずの後味の悪い中途半端な話となってしまっている。
ストーリーとその演出はあまりにもお約束的で新味に欠ける。有能だがアナログな刑事と最新機器も駆使する若手刑事のコンビという人物設定しかり、犯人の特定と追跡のシチュエーションしかし、どうにもステレオタイプである。しかも全体のテンションがかなり低く、観ていて盛り上がらないことおびただしい。確かにサイコサスペンスというタイプは、ハイテンションで描くものではなく、じっくりじわじわと展開していくものなので、そういう意味において正攻法な演出ではあるが、話が退屈なもので正直ついていくのがきついのだった。
もうひとつ、話の雑さ安直さをあげると、途中から参加する女刑事の扱い。乱暴(ストーリー上のことではなく)すぎる。まったくの犬死なのもひどいが、それがストーリー上の必然ではなく、単に悲劇感を増させるためだけの強引で無理矢理な展開であるところに、制作者の安直さを感じずにはいられない。
フレンチな感覚ってああいうのなんだろうか。観るところなし。