CHART-DATE : (2002/01)
作品
旗魚
… ソードフィッシュ

(監督:ドミニク・セナ)


お話

 正義を我が手に。


お話

 冒頭のトリッキーな台詞から、被害者の爆死シーンまで一気に魅せる。映像と演出の冴えに、「おっ」と引っかかり、一気に話に引き込まれる。釣り上げられる。
 ここで話は、4日前に戻り、再び冒頭のシーンに、どのようにたどり着くかという遠大なカットバックを、スタイリッシュ&クール&ビューティに描き出してくれるわけだ。

 世間的には、SFXを売りとしたいらしかったが、むしろ語り口の見事さをリスペクトしたい。とにかく脚本がうまいのだ。緊張感を緩めることなく、“犯人の正体はなにか”、“なにをしようとしているのか”などの、いくつもの謎を、絡め、解きほぐし、再び結びこみ、と、観る側の頭を休ませないように、ぐいぐいとストーリーを展開していく。
 ケレンに満ちた硬質な(それでいて艶めかしい)演出と相まって、退屈させない。
 実は、ストーリー的にもビジュアル的にも、さほど目新しいアイディアは用いられてはいない。だが、それをそう感じさせない力を持っているというわけだ。凄いね。

 ラストの大どんでん返しは「うーん、やはりそうきたかぁ」という感じで、中盤、主人公が犯人の死体を発見した時点で、その伏線がどうつながるか、論理的につなげるにはどういう展開が妥当かと、ちらちら考えながら観ていたので、あっと驚くような、というようなわけにはいかなかったが、もっとも妥当な(観客が納得できる、しかし予定調和といい捨てられない程度のトリッキーさを持って)終わりかたで、なるほどね、と思った。

 いろいろな意味で満足した。


お話
  1.  ここ最近の犯罪映画が、「イデオロギー云々をいっておきながら、結局は金のためだった」というストーリーが目立つようになってきているような気がしていたのだが、この映画は、それを裏返したような話となっている。それが単なるパターンくずしに帰結しないのは、犯人グループの主張と行為は、それなりに説得力を持ってしまっているという点にある。故に、犯人に共感する者も多いのではなかろうか。それが実はかなりな危険思想であるということはわかっているのだけれど、劇中で、あのように結果を、しかもクールなカッコよさで決められてしまうと、ありかも、と思うところはあるのではなかろうか。いや、オレは違いますけどね。
  2.  云うと思ったでしょ。もちろん、いいますよ。ハル・ベリーをリスペクト。グッときまくり。もともとショートヘアに弱いってこともあるけどな。
     でも、トップレスの姿よりも、下着姿のほうにより惹かれるのは、ちょっとオヤ〜ジな感じか? しょーがねーな、オレ。

お話
★★★★

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