( 監督:ジェラール・クラウジック)
美女と野獣の珍道中。
全然期待してなかったが、いや面白し! 大笑い! なんてオチャメな映画なんでしょうか。いや、マジで。冷静になって考えれば、ありがちでありきたりのお話なのだけど、オレ的にはツボにはまってしまった。
オレはこのキワモノ的に作られた(失礼!)映画を、シチュエーションギャグの映画と認識した。一見、ありがちな刑事アクションのように見えるが、いや、事実そうなんだけど、その味つけがヘンなのだ。ストーリーは「はみだしデカと美少女のポリスアクションなバディムービー」なのだが、展開や演出にセオリーからの微妙なズレがある。
例えば、新幹線のホームに舞子が立ってるみたいなわかりやすいカルチャーギャップネタしかり、有能なデカであることを示すのに自動車泥棒に対してゴルフボールをぶつけてみるといった適さないおバカな演出しかり。
分かりやすいところでいえば誤解された日本文化。典型的な誤った認識の絵づくりで、どう考えても意識してやっている。日本外で公開される場合はそれがベタな日本を表現しているわけだが、逆に日本人が観る場合、そでが嘘であることは明白。しかしそんなことはお構いなしに我が道を突っ走っている感じだ。それは「どうせ日本人は気づかないんだからやっちまえ」とか「ニホンの扱いなんてこんな程度で充分」みたいな無自覚とも違う、確信犯。そんな感じをうけた。
でも。オレ的には、実はそのネタ自体は少々わざとらしくウケてないのだな。オレのツボはさらにそこから、そういうねらいを考えて“はずしている”ところに、面白みを見出しちゃったのだ。要するにオフビート感覚ちゅーこと? 違うか。単にひねくれているだけですか。ただ、そんなバカバカしさの中に、ちらり見えるウェットな部分に、ついホロリときてしまったのも事実である。単なる深読みしすぎ買いかぶりすぎとはわかってはいるんだけど。
そんなこんなで、一見バカバカしい珍道中は意外と理論的に進み、きちんと収まるべきクライマックスを通過し、エンディングに着地する。普通ってのもいいよねって感じ。
期待過多になることなく、お気楽に楽しめるエンタテイメントでした。