(監督:ジャンピエール・ジュネ)
「フシギちゃん大暴れ!」の巻
いや、面白い映画でしたよ、確かに。
でもさ。なんかひっかかるんだよな。
観る前の印象とは大違いでビックリした。ほわりとした優しさに満ちた愛おしいファンタジー。みたいなキーワードだったでしょ。一般的には。全然違うじゃん。世間でいわれているような癒し系ムービーでは断じて、ない。
ファンタジーではある。ボーイミーツガールでもある。でもって、いろいろな洒落たエピソードをちりばめながら組み立てられたストーリー。思いの外スピード感のあるトリッキーなカメラワークと演出。本来ならモロにオレ好みの話なんだけどなぁ。
にもかかわらず、である。絶賛できない理由は明解。主人公にどうしても感情移入できなったせいに他ならない。いやぁ、どうにも自分に合わないんっすよ。どんなに見た目好みでもちょっとなぁ。はっきりいって迷惑千万なキャラじゃん。自分の考え/感情/思い込みが1ミリも間違ってないと信じきっている傍若無人ぶり、他人に迷惑をかけているとか全然考えもしない自由気ままぶり。行動に振り回される回りの人々の身にもなってみろ、みたいなね。現実にオレの近くにいたらちょっと勘弁してください、だよ。本当に悪人じゃないところが救いかも知れないが、逆に救いようがないともいえる。
ところがそういうキャラだからこそ成立する話であったりするのが、そしてまた、それは実に上手く成功していたりするわけなんだよね。いやはや。
てなわけで、映画の出来と受ける印象がここまで違う結果になるということも、珍しいこともあるのねと思った次第の、実に愉快な映画であった。