(監督/脚本/原作:森 淳一)
とんがり帽子のマモル。いや、ホントはテルだけど。
淡々とした物語だ。淡々としていて、そして痛い。
それぞれが抱えるココロの問題のせいで、一人では生きていくことの難しい二人の、幸せな結末。
しかし、それは幸せなのだろうか。とも思う。二人はそれぞれの問題を解決はしていないからだ。
人生は苦く、思い通りにいくものでは、決して、ない。
だから、この映画はどこで幕を閉じても、『それもまた悲しい現実』であるという結論として、観る側は受け入れることもできよう。そこに残るのは苦い現実であるが、それはビターな映画として成立はしよう。
しかし、それではあまりにも哀しすぎる。だから、二人にとってささやかな幸せを与えることで、映画は終わる。絶対の幸福ではないが、その一時だけは明るい未来をみることができる。例え、その幸せが実はもろい薄氷でしかないとしても。
小春日和の暖かさのような物語ではある。観ていて優しさを思わずにはいられない。だからこそ、やはり人生は残酷である、のかもしれない。