(監督:塩田明彦)
会いたいと想う気持ちが。。。 あっても。。。
それなりに期待していたのだが、ちょっと調子抜け。もっと監督塩田の持ち味である、自然で淡々とした話を期待していたせいかもしれないが。
大味”というか“キャッチー”というか、世間一般(ちゅーか普段TVしか見ないタイプの観客)に迎合しすぎた演出に、興ざめは否めない。映画の観るべきポイントをわかりやすくするためのTV的なあざとさというかそんな感じ。例えば、RUIのシークエンスはストーリー展開上、あえて必要とは思えない。もちろん、原作にミュージシャンのエピソードがあってのことだろうが(まあ、読んでないんですけれどね)、なんか無理につっこんで“売り”を作ろうとしたとしか思えないというのは、失敗だと思うわけだ。
蘇った人々と生きている人々の関わりが思っている以上に強く訴えかけてこない。いかにもすぎるせいなのだろうか。じゃあ、もっと情感が漂えばいいのかというと、それもちょっと違うんだけど。
せっかく科学的調査団が出てきているのに、そのシチュエーションを全然活かしていない。もっと理系的視点での展開が入ってきてもよかったのではないか。その上で、人と人との限られた日々というエモーショナルな面が浮き彫りにされていけば、切なさ感も明確になって、より感動的な仕上がりになったと思うのだが、どうか? 今のままでは叙情的にするのか、理詰めで進めていくのかが中途半端なのだ。
ストーリーも冒頭からラストまで一本道で、どんでん返しのようなものはいっさいないというのは、個人的には寂しかった。展開が丸々読めてしまって、「ここが感動どころ」みたいなのはちょっとね。そういう意味でも、理詰め的展開がほしかった。
豪華役者陣も悪かないんだけど、かえって話を邪魔しているようにも思えた。「あ、こんなところにこんなヒトが出てる」と思うそのとき、役を観ているモードから、役者を見るモードになってしまう。ストーリーから気持ちが切り離されてしまうということである。そういう意味において、役者に引っ張られてしまうというのはよろしくないだろう。もう少し役者ではなく話で魅せてほしいと思う。
うーん、けして駄作ではないんだけどなぁ。なんとなく全体的に散漫でオレにはしっくりこなかったなぁ、というのが正直な感想です。