CHART-DATE : (2003/02)
作品
赤龍
… レッドドラゴン

(監督:ブレット・ラトナー)


お話

 背なの龍が啼いているぜ。


お話

 思ったよりも楽しむことができた、といっちゃうと全然期待していなかったようだが、そのとおり。正直、期待していなかっただけに、面白かった。だって、レクター博士シリーズももういい加減、いいやって感じになってたもんでね。同じようなテイストの話を何度も繰り返していくと、どうしても劣化/陳腐化しちゃうでしょ。しかも今回は半ば強引なまでのリメイクなわけで、ちょっとひいていたのでした。
 ところが、蓋を開けてみれば、そんなに悪い出来ではなかったというわけで。全編を包み込む、まとわりつくような重々しい、それでいて乾いたトーンも、見事にはまっており、サイコサスペンスとしてかなり完成度は高いはずだ。でも、だからといってサイコーですとは、やはり言い難い。

 じゃあ、それはなんでかって思うに。結局、前2作があってこそなんだなぁ、と思う部分が非常に多く感じられたってことなんだな。本当は、映画は他作との比較で観るべきじゃないとは思っているのだが、とりあえずこれは3部作だし、まあ、そういう観かたをさせてもらうが。要するに『羊・・』と『ハンニバル』をしっかりと研究して、いいとこ取りしたんだろうなぁ、と思う要素が実に多いのである。
 まあ、ストーリー、というか3部乍としての整合性やトーンの連続性を考えたせい、というみかたもあるのだろうが、それよりも失敗が許されない状況の中、美味しいとこ取りでキャッチーに仕上げ極力リスクを少なくしたんだろうなと思うのである。だからダメというわけではない。面白い作品になっていればそれはアリだし、今回については充分に成功していると思う。ストーリー面での面白さははじめから概ね保証されているわけであり、料理の段階で、ヘンに奇をてらわず、正攻法でしっかりと作り上げたのは正解だろう。後半、レッドドラゴンの視点で話が展開していく部分で、レクターシリーズとしての成立させるための無理が、少々露呈するかしらと思ったが、意外ときれいに収斂させていくことができたしね。
 ただ。でもね。やっぱり「パチもんくさいぞ」というムードが底辺に隠されているのは、いたしかたのないことなのでしょうか。


お話
  1.  アンソニー・ホプキンス。なんかもう“オレがレクターだっ!”という確信犯的な演技を繰り広げているが、のりすぎ/はまりすぎで、あそこまでいっちゃうと逆に少々嘘くさくなってしまうように感じるのはオレだけか? オレとしてはレクターというキャラクターには思い入れがないので、もっとグレアムやクロフォードが知的論理で犯人を追いつめていく部分を観たかったなぁ、と思うのであった。
  2.  『ハンニバル』がいまひとつだった理由が今回はっきりとわかった。それは“追う話”ではないってこと。ハンニバルは“逃げる話”なんだよね、基本的に。でも「羊」や「レッドドラゴン」は“追う話”なんだ。確かに主人公を誰にするかで話がそうなるのは当然なんだけど。そういう意味でも「レクターがどうしたか」なんて、興味ないよってことなのか。
  3.  しかし、どうせ比較鑑賞せざるを得ないならば、リメイク前のヤツも観ておくべきなのかなぁ。

お話
★★★★

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