(監督/製作/脚本:ピーター・ジャクソン)
中つ国夏の陣(冬だったけ?)
指輪物語は、読むときの気分や求めるものによって面白いと思える部分が変わってくる、そういう物語である。それだけいろいろなシーンが盛り込まれた壮大な物語であるということなのだ。だから本の場合だと、今はここは読む気分じゃないなぁというときはけっこう飛ばし読みとかしちゃったりもできるのだが、映画だとそうはいかないってのが辛いところだったりする。
さて、そんな二つの塔だが、まさに重厚無骨な映画っぷりである。しかし、であるが故に、観る側もそれなりに心してかからなければならないのであった。第1部である旅の仲間は、人々が出会い、旅をするという、視点の移動が多い話であったのに比べ、二つの塔は戦いがメインとなっている。全編戦いといってもいいかもしれない。で、それを真っ正面からやられると、けっこう観ているのがつらくなったりするのであった。なぜなら、延々と同じようなシーンが続くから。
確かに物語は進んでいるのだが、見た目の雰囲気は、モノトーンに近い暗く堅い絵づくりで、しかも戦いの中でもあり、緊張が強いられる。抜けるところがないのである。それが3時間も続くのである。これはけっこうしんどい。
指輪物語の映画化としては原作の雰囲気をそのままに映像絵巻としてまさに完成しているとは思う。だからこそ、戦いの物語である二つの塔は観る側の気合いを試されるのだなぁ、と思うのであった。