(監督:コーリー・ユン)
美人姉妹の暗殺者対女刑事、という企画自体はいい線狙ってきているとは思うのだが、ストーリーがついてきていないのだった。香港映画の悪いところが出ちゃったなぁ、という感じである。
ご承知のように、香港映画って、エンタテイメント優先主義なところが多分にあって、少しでも面白いだろう、観客に受けるだろう、と思ったことは、とりあえずなんでも詰め込んでしまう傾向にある。これがいいほうに作用することもあるが、そうでない場合のほうが多く、結局、詰め込みすぎて消化不良、てな結果になったりもする。
で、今回がそれなんだなぁ。企画自体は本当に期待していただけに残念である。
例えば、両親が殺されたことによって暗殺者になるシチュエーションは必要だろうと思うが、十分に描ききれておらず、反面、姉の婚約者との関係については、なんか無理に詰め込んだ印象が残る。こっちは本来不要なエピソードだと思うのだが。ことほど左様に整理整頓が今ひとつされていないのであった。もっと切るべきところはばっさり切り捨てて本筋にかかる重要なエピソードをきちんと描いた方がよかったのではないか。
例えば、妹と女刑事との関係。ラストにきてはじめて二人に微妙な恋愛感情(のようなもの?)があることがわかるが、いささか唐突である。なんか勿体ない感じがしてならない。姉と同じ日に生まれたことによる疑似家族感情とか、自分に欠けたものを求め合う感情とか、ライバルとしての同士意識とか、もっと丹念に彫り込んでいけば面白いものになったと思うのだ。
なんか残念だなぁという結論で終わってしまったが、けして見るべきところがなかったわけではないのが、また、難しいところで...