(監督:ブライアン・シンガー)
リアルSFスーツ軍団 VS 男装スーツの東洋美女(オレツボ的見解として)
完全なるパート2。どういうところが? というと、1からの完全な続編として作られているという点。まあ普通は続編ったらそういうもんだといえるが、本作の場合、前作からの伏線があっての話であるというところが違うのだ。前作があたったから辻褄を合わせるように伏線を広げました。というのではなく、あきらかに前作のラストを、そして明かされなかった秘密をストーリーのコアにしている。あらかじめパート2があることを前提に作られたかのようである。たぶんそうなのだろう。(そしてすごいのはパート1がそれ自体では完結した話として完成している点でもあるがそれはまた別の話)
反面、前作を復習しておかないと、つながりが判らなかったりする部分もあって、痛し痒しなのではあるが、だからといって単独で観た場合、チンプンカンプンという程でもないから、脚本はよほど慎重に作られたといってよい。
ちなみに、本作におけるエンディングの“ひき”の継続感はさらに強くなっており、エピソードとしてはきれいに完結しているが、物語は終わってはいない。あきらかにシリーズ化可能なつくりにしてあるということだ。しかし、現在の役者を常に押さえられるのか、とか、監督のオファー(監督ブライアンシンガーとの好相性こその出来だからね)の問題、とか、いろいろな部分で、1,2作の体制を継続することは難しかろうとは思う。そこまでしてダラダラ続々、続々々とかはしてほしくないかもって気持ちはあるね。
さて、2作目の壁である“バージョンアップ”であるが、今回は「戦いの派手さを追加」ということらしい。少なくとも前評判はそういうことになっているが、オレ的にはそれほどでもないかなと思った。もちろん、前作オレ的大絶賛だったので、そのフィルターが入ってしまっているせいかもしれない。後から思えば確かに派手なアクション、派手な舞台になっていると思う。でも、それにあまり注目し得なかった理由は、ストーリーが見事だったからであることは云うもまでもない。前作以上の三つ巴の緊張関係。複走するいくつもの話や敵対関係が、最後に一本に収束していく見事さ、人間ドラマのしての機敏など、ぐいぐい引き込ませる力を持っている。そんな物語を要所要所でしめるための切れ味のいいアクション。オレはそういう見方をしたわけだ。
ともあれ、アメコミヒーロー映画乱発する昨今、きちんと“観る”ことのできる映画としては白眉であることは確かだ。