CHART-DATE : (2003/06)
作品
見鬼
… the EYE

(監督/原案/脚本/編集:オキサイド&ダニー・パン)


お話

 見える恐怖、見えぬ恐怖、見せぬ恐怖、見せる恐怖


お話

 うひゃ〜、ものごっつう怖えぇ、マジで!
 レイトショーで、広い劇場に十人もいない状況での鑑賞だったので、怖さもひときわだよ! ある意味、ホラーとしてもっともいい環境だよ。

 まず、オープニングから怖い。本編とは全然関係ない仕掛けで卑怯と云えば卑怯なんだけど、絵で怖いし音で怖い。この数分だけで、オレの恐がりツボはすでにマックス近くまでいってしまっていた。なにしろ、場内がひとけのない状態なので、逆に! なんかいるような気配、重い空気がビンビンに漂っている。映画が始まって全然ストーリーも進行していないのに、もういいよぉ的な気分で完全にビビりまくり。我ながら今にしてみれば小っ恥ずかしい限りではあるが。

 とにかく、絵が怖いのだ。いや、例えばビデオなどで家で観れば違う印象なのかも知れないが、そのときはもうモーレツに怖かった。ぼんやりと見えるようで見えない、どこから現れるのか、いや、どこに佇んでいるのかもわからない。でもそこにいるのは判っている。それは絶対確信を持って云える。そういうタイプの恐怖だ。ビックリ系じゃないだけに、逃げ場がない。そんな恐怖感。
 特に怖かったのは、エレベーター内にたたずむ老人。足だけが浮いている。ふりむきたくてもふりむけない主人公に完全に感情移入状態。もうひとつは車内に映る女性の姿。これはマジで、もう、観たくねぇぇ、と思ったくらいに怖かった。それは実は音響さんがすごくがんばって恐怖感をあおる効果を入れてくれているせいもある。だって音は逃げられないからね。
 見えないものが見え始めるときの恐怖ってのこういうものなのだろうかとも思った。

 そんなこんなで、ホラーとしては大正解の大傑作なのではあるが、半面、話としては粗い雑なところがあったりもする。
 ストーリー面でいえば、主人公のラストの扱いとして、あまりにも悲劇的というか安直というか、セオリーどおりの結末でちょっと品がないように思う。モノローグも唐突で説明的だしもう少し工夫の余地があったのではなかろうか。
 演出面では、音楽のあて方がコミカルシーンなのかシリアスシーンなのかのブレが大きすぎて、もう少しトーンの整理をしてもよかったのではないかと思った。
 あと、エピソードとして、もっと見鬼の力を持ったことに対しての覚悟や見鬼能力の先達の知恵を伝授するような展開もあってもよかったのではないかと思う。

 とはいうものの十分すぎるほど怖がったのでこれはこれでよし。
 もう一回観る? といわれて、怖いからもう観なくていいです。と云いますよ、オレは。(それって、映画としては失敗なのか?(笑))


お話
  1.  主人公の見鬼能力が角膜移植によるものなのか。というのが、けっこう気になった。
     多分、脚本家も、それを念頭において書いたんじゃなかろうかと思うのだ。そうれなければ、提供者の霊を浄化して解決、ところが力は残っていた、というドンデン返し的な設定はしないと思うからだ。
     ストーリーを普通に観てしまうと、角膜に力があって、移植により力が宿った。ととるのがセオリーだろうが、ところがオレはそういうみかたではなく、主人公は潜在的に元々見鬼の力を持っていた。そして角膜移植というスイッチにより顕在化した。特に元の持ち主も見鬼だったためにその力は倍加した。と、そう読んだ。
     というのも、主人公は霊の声を聞いているわけですよ。見えるだけじゃなくてね。つまり元々霊媒体質でなければ、そういうことにはならないだろうというわけ。だからこそ、あのクライマックスにつながると。てなわけで、ことクライマックスに対してはあまりドンデン返し的なサプライズはなかったわけだが、それはちょっと損しちゃったみかたをしてしまったかもしれない。
  2.  主人公役、アンジェリカ・リー。ちょうど春先に台湾に行ってジャケ買いしたCDが彼女のでした。つまり出会うべくして出会ったということかぁ。

お話
★★★★★

ページトップにもどる