(監督:北村 龍平)
人ン間、そうさ、人ー間。
なんか隔靴掻痒。中途半端で陳腐でチープ。シナリオのつくりが悪いのか、はたまたストーリー自体が甘いのか。いずれにせよ、観終わって満足できなかったのは確かだ。
どこかで見聞きしたことのある平凡な話が、まずキツイ。尋常じゃない破天荒な話なのに平凡な印象を感じるってのもアレだが。でもって、そんな話を映画としてどう盛り上げていくのか、映像としてなにを訴えて求心力としていくのかが、練り切れていない感じがしてならないのだ。例えば、杉本哲太の役割はまあ話の展開上ありうるだろうが、その描き方としてあんなステレオタイプのキャラ設定でよしとしてしまう部分。陳腐でしょ。リアリティがないでしょ。あれじゃいかんでしょ。
一事が万事、そんな感じ。全てのツメが荒くて話の説得力に欠けるのだ。主人公のキレやすいのか勇敢なのか一貫していない半端ぶりについてもそう。あれでは重犯罪者の強い意志を持つ者とはみえない。異物との融合と吸収についての設定も、わかることはわかるが、そこからさらに共生体としての可能性を描き出す挑戦を放棄している。そもそも話の狙いであろう、未来がないデッドエンド感も、ふらつきまくって目的地、着地点があれでは悲しすぎはしないか?
演出に特化して云わしてもらう。絵づくりとしてなんとなくやりたいことがあって、それはパーツごとに見えて入るけれど全体像として表現できてない。素人芸。そんな感じ。要するに監督の力量不足である。チャチくさい。それで全てを云い表せるね。
アクション表現については、まあそれ以外の部分に比べれば多少はガンバリも見えなくはない。しかし所詮はチャカついているし、小手先仕事だしで、画面全体でどうカッコよさを作り出すかを考えてはおらず、動きのダイナミズムが台無し。監督のやりたいことはつまりハリウッドスタイルの縮小再生産で、そんなしょぼい絵をとりあえず詰め込んでしまえばいいって感じなのである。しかもキレがないからチャチさばかりが大爆発。
あいにくと、オレは、香港スタイルのスロー(タメ)とクイックのアーティスティックな感じの絵づくりこそがアクション映像美であると信じているので、彼の嗜好はイマイチ共感できない。まあその部分を割り引いて客観的に見れば、そこそこやってるのかなとも思わないでもないが、でも嫌いだな。
で、アクション以外の演出はどうかというと、衣装などは、なぜセンスのないパープルのワンピなのか。実験場の無意味な構造物が逆に陳腐。要するに作品内としてのリアリティを出す仕掛けなきビジュアルセンスの悪さにひっくり返ることしきり。しかも人間が描けていない。もうダメじゃん状態なのである。
なんで、こんなに悪いところばかりをあげつらっていかなければいかんのだ、だったら観なければいいじゃんか、我ながら思うのだが、なにしろネタの選び方だけはいいところをついているのだ。だからいつか面白いことに化けるのではないか、と思ってしまうんだよなぁ。
北村作品のもうひとつの課題。それは男優が地味!