(監督:本広克行/脚本:君塚良一)
レインボウブリッジ、封鎖、できましぇ〜ん
(オレを含めて)人々がこの作品に期待しているのは、「思いもよらない突出」ではなくて「予想されうる上出来」なのではなかろうか。だから、いつもの面白さを、納得して、リラックスして楽しむことができるのだと思う。ストーリーも『踊るシリーズ』として十分に納得できる内容だったし、(多少の出来不出来はあっても)過不足はないだろう。いままで応援してきた人達への、サービス的なギャグも、上手くツボにはまっているし、だから、映画としては及第点だと思う。
しかし、だから手放しで「よかったよ〜!」ともいえないんだよなぁ。ここをこうすればもっとよくなるんじゃないかと思える部分が、オレとしては気になってしまったのだ。
総じて、全体的に冗長になってしまっているように思う。もっとブラッシュアップして上映時間も絞れば、速度感も出るのではないか。
その原因は、必要なことを“言葉(あるいは科白)”で説明しようとしているせい。具体的には室井と青島の関係を説明するのに、科白で、しかも事細かに表現している。その分、時間が無駄にとられしまい、流れを止めてしまっている。それ以上に、観ていて面映ゆくしくて鼻白んでしまう。「わかったから、そこまでいわんでいいよ」って何度思ったことか。
同様な趣向で、例えば、自販機コーナーでの会話、地図を広げてのシーン、ラストでの和久井の独白、などなど。どれも、そこまで科白でいわなくてもいいシーンであろう。むしろそのほうが、無言で通じあう男達のカッコよさを演出できるように思うのに。軽くペラペラしゃべっちゃ興ざめもいいとこである。
確かにこれまでの物語を知らない人にとっては、わかりにくい状況となるかもしれないが、少なくとも、この映画“だけ”を観るって人は、ほとんどないと思う。例え、初『踊る』だったとしても、映画館で緊張感を持って映画に集中していれば、察することは容易いはずだ。観客に手取り足取りきちんと教えてあげなければ判らないはずはないと思う。
ところが、逆に新しく来た本部長については説明不足なのが不思議で、何故あそこまでひとりでがんばるのか、その説明が不足気味。敵役だからという簡単な理由じゃあ身も蓋もないわけで、「上層部からの過剰な期待からくるプレッシャー」だと説明はされているが、むしろもっと別のトラウマも設定してあげた方が話に説得力が出ると思うのだが。
まあ、そんな不満タラタラの感想を云ってしまったが、じゃあ、つまらなかったのかよ、ダメだったのかよ、問われれば、いや十分面白かったっす、と答えざるを得ないわけで、まあ、結局のところ、佳作であるというのが結論なのかなぁ。
なんてな。