(脚本/監督:イー・ツーイェン)
思春期の成長痛。くぅ〜。
自意識過剰な少年少女の恋模様の物語である。メインストーリーとして描かれるのは“同性への愛”ではあるが、それは肉体への欲望を伴う生々しいものではなく、もっと精神的・観念的な、あの年代ならではの憧憬や同化によるものである。
すべてが若さ故の悩みなのだなぁ。それぞれが日々生きていく中で悩み、そして少しずつ成長していくさまは、誰もが通過してきた道であるが故に、恥ずかしく、痛々しく、そして初々しいのだ。
『少年と少女』というよりも『男の子と女の子』といったほうがふさわしい、純粋な感覚。日本ではすでにスレて廃れてしまった純粋さが、まだここにはあるのだった。もしかしたらそれは台湾においても、すでに失われているのかも知れないが、少なくともこの映画の中では瑞々しく息づいているのだ。それは異国の地だからこそ誤解できる(?)のかもしれないが。もし、これが日本を舞台としていたら、果たしてリアリティを感じ得ただろうか。もっとも、この物語が彼らのリアルであると思っているわけではなく、ひとつのファンタジーだということは承知の上で、そこに「もしかしたら」という希望を見いだしている。