(監督:山口 雄大)
腰くだけでやんす。
バカ映画として期待していたのだが、どうもツボをわかってなくて隔靴掻痒。キレの悪さで損をしている、というかどうすれがキレがよくなるのかが、まだ体得できていない感じ。「バカ映画の本質は過剰さである」ということは判ってるみたいだけど、その過剰さを成立させるためには、本物を感じさせなければダメだということまで至っていない感じである。本物ってのは、チャチさを感じさせない本気ってことで、安っぽいとどうしても、嘘くさくなってしまうわけだ。で、ぐだぐだになってしまう。と思うのはオレだけ? せっかく暴走バカなテンションで突っ走り抜けられるいい素材だと思うのに、なんという残念さであろうか。
本気っぽさと安っぽさの境って、実は本当に些細なことなのだが、一例をあげると、殴るときに「寸止めにする」と「本気で当てる」の差だと思うのだ。どんなに上手に演じてみても、「当てない」と「当てる」では、そこに描き出される質感に歴然の差として現れてしまうのだ。多分、分析していけばそれは、映像の速度であったり、画角の捕らえ方であったりと、本来描ける構図の制限があるかないかだったりするのかもしれないが、帰納すれはつまり、絵として漫然と撮っているのではなく、どこか目端をきかせているということを意識させているかどうかということなんだろうと思う。この監督は、そんな本物っぽい感覚をいまひとつ表現しきれていないのが、オレとしては、ダメだったし、観客としてのテンションダウンの理由である。もったいないなぁ。せっかくのナイスバカなのになぁ。