(監督:松岡 錠司)
いつまでもそばにいる
まいったよ、もうのっけから泣いてるよ、オレ。誰でもそうだと思うけど、動物ものって基本的に涙腺が弛みがちだから。でもって、クライマックスはもう号泣ですよ。クロの人生(犬だけど)を、映画でしか共有してないのに、あいつはいい一生だったんだなぁ、と思い、切なさに心を思いきり揺さぶられてしまったのであった。涙もろくなったなぁ。でも、隣りに座ってた見知らぬオジサンも、案の定号泣してたので、多分、映画として、話として、見事に共感させられるようにできていたんだなぁ、と思うのであった。
もうひとつ思ったのは、時代設定が、昭和であるということ。それは元となった実話の設定だからこそでもあるんだけど、別の目線でとらえると「犬のいる学校生活」「犬が居てもいい学校環境」が成立しうる時代は、21世紀を迎えた今ではリアリティがないのだなぁ、ということである。牧歌的な時代が許容されない殺伐とした世の中になってしまっているのかという、寂しさはやはりどこかにトゲとして残ったのであった。まあ別に文化祭でフォークダンスを踊りたいとかそういうことではなくて、鷹揚な余裕がある世界に対する憧憬はあるし、それは誰もが心の底では求めている世界ではないかなぁ、だからこそ、泣くのではないか、とも思うのであった。
ともあれ、あまり屈託した考えをもたずに、素直な気持ちで「心温まる動物映画」あるいは「古き良き青春映画」として観ることが、一番いいんだよね。