(監督:ダニー・ボイル)
HELL O
この手のジャンル、ちゅーかようするにゾンビ映画の新解釈として、なるほどと思った。上手いよね。
ゾンビという存在意義を『動く死体』ではなく、『人を襲い食すモノ、伝播するモノ』という構造に特化する。その原因を細菌(ウィルスか?)に求めるのは原典以来変わらないが、より明確にするため、死体ではなく、症状であるとしたところがミソなのである。死体が人を襲うというスーパーナチュラルな視点を排除することで、存在の(擬似)リアリティを獲得し、前述の構造的恐怖(そして悲劇)に特化することができたのだと思う。付随的にヤツらが機敏である理由も獲得され、それが新味ともなっているといえる。ストーリー的には、ゾンビ映画の定型をほぼ忠実に再現しており、それはオマージュといえるのかもしれないし、安易とみることもできるだろう。オレもそこまでパターナイズしなくてもいいのに、と思わないではないが、反面、展開をそろえることで根本の差が浮き出る意味もあるようにも思えたし、これをもってダメだしをするつもりはない。
実際、スピーディでロックな演出には、けっこうあっていたし、ダレなかったし。
なによりあからさまなハリウッド的ホラーにはない、そこはかとない違いがよかったということであろうか。