(監督:ロニー・ユー)
ゴジラ対キングギドラ的?
元々、スプラッタが苦手なクセに観に行ったのは、こういうイベントに参加しないのはソンだろ、と思っただけのことで、別に期待していたわけではない。しかし思ったより血みどろではなかった。というか飛び出し系ではなかったというべきか。流血自体は多かったし。でも、あまり緊張を強いられなかったので、気持ちよく観ることはできた。
2大ヒーロー揃いぶみってことで、正直、よく作ったと思う。それなりに面白かった、とも思う。でもそれだけ。結局イベントムービーはそれ以上でもそれ以下でもない、ということだ。
誰もが一回くらいは想像するダークヒーロー対決ってことで、それなりにワクワクするところはあるのだが、しかし、それは「物語」への期待ではなく、所詮は「パロディ」の愉しみでしかないのではなかろうか。
それは、話として成立しているか云々以前の構造的な弱点なのではないかと思う。実際、この作品について云えば、好きだからそこ相当に考えたのだろうと思う。ひとつの「物語」として、それぞれのダークヒーローの世界観を損ねることも、破綻することもなく、きれいにまとまっていた。でも、やはり元々別個の世界のものをひとつにしてみようというのは、その裏に『もし闘わば』=『スキモノの贅沢な遊び』という感触は消えることはないのだ。結局、そこに描かれるすべては、どうみても同人誌ネタってことだ。
といいつつも、だからダメというわけではなく、それもまた映画としてはアリということは十分承知の上。だからそこ観に行ってるわけだしね。
さて。
外枠にそんな構造を持っているこの映画は、だから、主人公はあくまでも最凶モンスターの二人であって、それを退治する人間ではない。話を進める上で、一見、主人公っぽく振る舞う人間達は出てくるが、なんのことはない、実は付け足しで、この話を終わらせる為だけにセッティングされた道化的役目であったわけで。だから、感情移入もなにもあったものではなく、別に彼らにふりかかるサスペンスに対して、1ミリも手に汗握らない。ドキドキなんかしやしない。脇役端役に至っては「おっと、ここで死ぬね。ほら殺された」的に、もうイケイケ(死ね死ね、か)ゴーゴな気分。こうなってくるともうホラーではないですな。だって“死に対する恐怖”がないんだから。“次に消えるの誰〜だ”なのだから。そういう意味で新機軸映画と云えなくもない。少なくともホラーコメディであることだけは確かだ。
が、この作風、映画的構造は、かなり卑怯で、禁じ手に近い。2度目はないよな。とも思った。