(監督/脚本:クエンティン・タランティーノ)
ヤッチマイナーッ!
面白い! いやもうハマリましたよ、マジで。
なんたってタランティーノのオタク魂の爆発を観たって感じで、「そうかこういうのが好きなんだね、わかるわかる。だってオレも好きなんだから!」的共感がビンビン。
実際のところ、オレ的にはB級無国籍アクション映画にそこまでの思い入れはないんだけど、そういうのが好きだから、こういう映画を撮りたいのだ。というパッションは、ジャンルは違えど、同じ“ヲ魂”を持つ者として非常によっくわかるのである。
今回の狙いである、確信犯としての「間違ったニッポン」。好きだなぁ。笑いやウケをとろうとしてではなく、そういう雰囲気の映画が好きだから、意図的にそういう架空の国『ニッポン』を舞台としたってわけで、別に現実の日本を舞台にしているわけではない。あえて表現するなら、オリエンタリズムという大枠でとらえたアジアン映画全体に対するオマージュ。日本でも香港でもいい。東洋のどこかの物語ってことでいいんだ。(まあ、トラックスーツにしてからがそうだしね)
ヘンテコリンな日本語を多用することによるリアリズム消失は、この映画で描かれている世界がそういう世界(良く云えばB級的、悪く云えばパチモン的)である、という前提で観れば、まったくもってしっくりおさまり違和感はない。
醒めた観かたをすれば、それはもうツッコミどころのオンパレードではあるが、ツッコミネタで遊ぶ映画ではなく、それを自ら受け入れて一緒にワクワクすべき映画だと思う。元々オリエンタリズム好きとしては、まさにスィートスポットをゴンゴン責めたてられて、くらっくらしながら、大爆笑しながら、ワクワクドキドキしながら、一気に観きった。そんな印象であった。
血みどろではあるが、スタイリッシュでもある。スタイルを重視している。障子の陰影表現による殺陣しかり、雪の日本庭園での一騎討ちしかり。スタイルで、腕がちぎれ胴が横なぎに切り裂かれる。まあそう云ってしまうと、人非人っぽいイメージになるけれど、そういうスタイルなんだと開き直られているから、絵としては意外と残酷な感じはしなかった。まあ、単にツボにはまっただけなのかもしれないが。
てなわけで、カットバックの多用、モノクロとカラーの交錯、チープな音楽づかい、リアリティくそ食らえな感じ。どこを切り取ってもタレンティーノ節。はずすと徹底的に相性が悪いが、ツボにはまるとこんなに面白いものなのか、と感慨深かった。