(監督/脚本/製作:アンドリュー・ニコル)
010100110みたいな?
コメディ(シットコム風ドタバタな喜劇)のようでもあり、シリアス(トリッキーにひねったオフビート感覚の悲劇)のようでもあり、というなんとも不可思議な印象が残る映画であった。なんか全体のイメージが、アメリカ製なのにフレンチな味わいなのも不思議。不可思議だからフレンチっぽいのか、あるいはその逆なのか。とにかく相補的にヘンな雰囲気で、ようするに“曖昧微妙”。でも面白い。こういうトリッキーな脚本は、いいよね。ちょっと雑だけど。
映画監督とはなにか。役者とはなにか。を、実は問いかけているのである。オレとしては常日頃より「役者=映画のコマ」を主張しているとおり、昨今の(いや、昔からか)映画といえば、「役者が誰で、どんな演技で」というような、ぱっと観部分での感想評価が横行する実情には、力強く異議があるところだし、そういうわけだから、この物語には、もう本当に「涙なくしては観られない」的共感はあるね。って別に自分は監督じゃないんだけどさ。
話の展開として、後半、監督の娘がいきなりコンピュータを扱いだしてしまうのは、破綻はしてるわけではないが、ちょっと無理があるなと思った。それほどに扱いやすいツールであったというエクスキューズである、という観かたもできるが、なんか眉唾感が広がったのは難点だったかなと思った。
それにしても、CGが万能のアイテムであるかのように描かれているが、そんなに凄いのか? っていう気分はあるなぁ。CGには好意的、ちゅーかVFX系嗜好の自分ではあるのだが、(だからこそなのかもしれないが)今の技術では、フルCGをあそこまでリアルタイム制御は無理なんじゃあないのかしらと思ってしまって、そこもちょっと興ざめな部分であった。
と、アラを突いてみちゃったりしちゃうけど、総体としては楽しめました。