(監督:北村 龍平)
お行/生/逝きなさい。
なんだろうか、この苛立ちは。
(北村龍平作品全てにいえるのだけれど)基本的にハリウッドスタイルのアクション映画をやりたいことはわかるし、それなりに頑張ってる感じも分かるのだけれど、なんか素人臭さが出てしまっている。出来のよいアマチュア作品。でも、プロではない。そんな感じ。
映像としての見せかたのセンスが基本的に“ない”。「ここが凄いんだ、ここを観てくれ、ここがカッコいいんだ!」という形を本人は自覚していて、それを絵にしてみせるという意思もあるとはわかるが、形を持っているということは判っても形自体は、オレには全然伝わらない。
具体的になぜダメなのかというと、アクションの切れ味であったり、シナリオでのくさい云いまわしだったりと、いろいろあるのだが、それもてんで箸にも棒にも、ってわけじゃなく、「なんか違うんだよなぁ・・・」という、あと数センチ痒い所に手が届いてない。そういうもどかしさがある。だから余計に腹立たしいのだ。
例えばアクションシーン、特に剣劇を見せたいというのは十二分に伝わるし、カッコよさの演出の為の小道具としてロングコートで動線を強調とか、ワイヤワークでトリッキーな動作を強調とか、オレツボをしっかりとつけそうなことはやっているのに、最後の演出の(もっと云っちゃえばポストスクリプトの)詰めが甘い。「なぜそこでもっとタメない?」とか「なんでそこでカット割りしちゃうの?」とかいういような、そんな感じ。結局、ツボを見事に外している。より細かく見れば、剣さばきの演出も甘くて、おのまとぺで説明しちゃうけど、剣は『ビュッ』っとくるべきであって、『ブン』では重い/遅いのだ。速度感がでないのだ。
そういう細かいツメ、こだわりが実はこの監督には、ないみたいだ。自分がやりたいことができたことでとりあえず満足しちゃって、さらに突きつめるということがない。どうもそういうようにしか思えない。
大枠として、ストーリー構成は悪くないんだよ。イズコ誕生とそれに絡む人の業をアクション映画として組み立てていく。その段取りは上手く成功していると思う。ただ、みせ方がなぁ。って結局そこの話になっちゃうんだけど、要するに、その一点に尽きてしまうのだ。センスってのは天性のもので「好きこそ者の上手なれ」っていうようなもんではないってことなのだろうかね。
ま、これは個人的な好みのせいかもしれないけれど。