(ルイ=パスカル・クヴレア)
リアルチキチキ?
期待してなかったんだが、なかなかどうして侮れない。大満足である。
ストーリーとしては、あまり新鮮味あふれるというわけではなく、よくあるパターン進行的な部分はあるのだが、それは元々の原作が大時代的であるせいもあるのだろう、割り引いて考えてよいと思う。典型的なストーリー展開であっても、段取り芝居だからそれでよし。としない意欲がある。具体的には、各エピソードの配置、それをみせる演出の緩急のつけ方が当意即妙で、なるほど飽きさせないのである。
とはいっても、それでも、やはりダレる時間帯というものはどのような映画においてもどうしても発生してしまうのが普通で、それを如何に誤魔化すかが、監督の腕の見せ所だったりするのだが、この映画では、レースシーンを上手く挿入して、アクティブな映像でで補完する。結果、適度な緊張感や疾走感が最後まで持続して、映画としてのまとまりがとれている。見事。
と、カーレースが付け足しみたいな云い方をしてしまったが、実はこの映画の見どころは“カーレースシーン”なのである。テクニカルなカット割り、的確な空撮の多用で、その疾走感、緊張感、開放感はまさに快感である。
全体的に荒削りなのかもしれない。しかし、この映画においてはそれが効果的なのだ、とそう思う。