CHART-DATE : (2004/01)
寄生人形
(監督:中澤一登/吉永尚之)
ココロ、カラダ
全三章からなる、ある特務組織の黎明から崩壊に至るまでの物語である。SFアクションアニメの体裁をとってはいるが、全編を通じ重い話が続き、爽快感はないので求心力の面で結構キビシイが、(ストーリーの流れ、雰囲気等々)映画としてやりたいことやスタンスががしっかりしており、ブレていないので観ていて緊張感が持続できる。ひとつひとつのエピソード自体が30分程度なので、ダレる時間帯がないというのが効いているのかもしれない。
アニメという手法は、より映像面での表現性が強く問われるところもあるのだが、少なくともエピソード1〜2については、新鮮味に関してはあまり感じられなかった。当たり前のことを実直に作り上げれば、きっちり面白い話になるということを体現しているとは思うが、ありきたりと感じる部分と表裏一体でなかなか難しいところ。3話目に関しては、やはりクライマックスのエピソードでもあり、全編を通じての核心部分でもあるためか、結構新しめの表現なども混ぜ、盛り上げのしかけづくりを展開してて、なるほど、そういう狙いだったか、と思った次第である。
機械に心はあるか、という話がメインストーリーらしい。確かにそうなのだが、なんとなく実はそこに観客に向けての求心力を設けていないように感じた。最終話の犯人の意図は、「機械は人か」に対する問いかけになってはいるが、それに反論するような話のつくりかたにはなっていない気がする。というのは、主人公の相棒たるブーマが、人間を守るために存在しているということを力説すればするほど、擬似人格プログラムのブレは感じられない。
むしろ、へんな誤解/曲解/思い込みで、テクノロジーを拒否することはないという話のようにも読み取れるし、現に個人的にはそっちの印象のほうが強かった。
★★★★ ☆