CHART-DATE : (2004/02)
防弾坊主
(監督:ポール・ハンター)
バレっと文句
結局のところ、所謂ハリウッドシステムで作られているわけで、故に派手さはあれども新鮮さはない。別に全然ダメなんじゃないけど、どっかで観てきたことがあるような話であることは否めないでしょう。てことは、あとは映像処理等のビジュアルに期待するわけだが、早まわしなどの今となっては古めのVFXをベタに使用したりと、なんかアクションを魅せるぜという思い入れはないんだね。せっかくワイアアクションも使っていてもそれを効果的にはみせていないよなぁと思った。ま、それがけしてダメなんじゃなくて、もうちょっとなんとかしてくれないとなぁ、という感じ。完全否定するほどひどくない分だけ、余計たちが悪いか。
なんでもかんでもナチの残党を敵役に配置するのは、手っ取り早いのかもしれないが、そこに必然性があるか? なくはないか。でもなんか安直だと思うのだが。コミカルなのかシリアスなのかのバランスもいまひとつ悪いし、まあ面白いだろうと思えるパーツの組み合わせだからなぁ。
ともあれ、なんだかんだいって後継者を見い出し、託す物語としてまとめたのは、ありがちだけど、「敵を倒す」を目的としてそれで幕を下ろすゲーム的な話づくりよりはよかったと思う。もっとアクションをきっちりと魅せるつくりにして、かつ、ストーリー的には“悟り”と“生きる”という部分に焦点をあてて、導師のアフォリズム(禅問答)を全面にフィーチャーしてみると、ハリウッドプログラムピクチャとはやや異なる不思議なアクション映画に仕上がって、なお、ラストのエピソードにきれいに着地するように思った。もう一踏ん張りで面白い映画になったのに、実にもったいないところである。(もっとも、その場合、よりカルティックでマニアックな映画、ということになるわけで一般受けは悪くなるんだけど。ね。)
★★★ ☆☆