CHART-DATE : (2004/03)
ジブン&トワ
(監督:田口 トモロヲ/脚本:宮藤 官九郎)
転石苔生さず
自分の学生時代は、元々音楽よりは美術志向だったし、また「ロック聞く奴は不良」っちゅー感覚もあったせいで、ロックを体感はしていないのだった。だから正直、音楽としてのロックがどういうものかはよくわかならない。今でもそんなに好きと云う程ではないし(アイドルポップ好きだから?)。
その後、MTVブームに巻き込まれてロックもそれなりに聴くようになり、イカ天をはじめとするバンドブームにも、それなりにグッときたりもしたが、所詮は岡目八目的にはたでみていた部分もあって、だから今でもよく判っていないのかもしれない。
そんなわけで、ロック音楽を求めるということという話としてはオレは実感はない。それはしかたのないことだろうと思う。
その分、オレがこの映画を観ながら思っていたのは『生き方としてのロック』。それはつまり『思想/哲学としてのロック』ということである。音楽としてのロック体験がない分、ロックはオレにとっては思想的になっている。
迎合しないこと。
己に正直であること。
変わらないこと。
変わること。
それがすなわち、オレにとっての「ロック」である。どんなにいい歳こいて青臭いぜと云われても、そんな生き方をオレは変えられないし、密かに誇りに思っている(あるいは強がっている)。
音楽の嗜好/志向で云えば、オレはロックよりもポップである。しかしそれは、ポップソングそのものが好きということだけではなく、『ポップ』という“現象”、現れては消える刹那的な存在/偶像/音楽を体感していようと思ってることであり、これがオレにとっての『ロック』なのだ。
幾度も繰り返す。オレのロック魂とは、「ポップであること。オタク的でありながら、脱オタク的であろうとする、迷いと確信の相克。それらすべてを受け入れて自分であろうとすること」これがロックだ。
とそんなことを思いながら観ていた。
話としては、なんかおかしみを持ちつつ実にエモーショナルで、ああこんな時代があったんだなと思うけっこう泣ける話であった。やっぱ愛なんだよなぁ。
★★★ ☆☆