CHART-DATE : (2004/03)
(脚本/監督:石井 隆)
ボンレス
“エロスのための映画”であることは間違いない。
まずはじめにエロスありき。より細分するならば、SMありき。
だがために、裏返せば、話がない。結局なにを云いたかったのか。主人公が経験する精神の崩壊と再構成、そして過酷な運命か? それを映像に焼き付けるために延々と描かれる嗜虐ショー。まあそういうことなんだろうけれど、だからどうなの? って感じ。ようは、オレの嗜好にはヒットしなかったってことだ。
前半の見所と思われる夫婦の激しいセックスシーンは確かに凄いなぁ、ここまで見せるんだ。とは思ったけれど、それは一般映画だからという前提があっての話であって、AVだったらこの程度は普通だからね。まあ、映画とAVに優劣があるとは考えていないが、ジャンル(あるいは目的)には明らかに違いはあるわけで、即物的な興奮の『おかず』であるためのAVと映画では描く意味あいも異なるであろうと思うのだ(だってわざわさ劇場に足を運ぶんだもん。一時の興奮のために外出はしないっしょ? そうでもない?)。
もしAV的観かた(興奮することを前提とした視聴)をするなら、基本を抑えつつ、でも押さえ気味の濡場ってところだろうか。でも、おかずとしても映画としても、どっちつかずなのかなぁ。
そんなこんなで、後半の展開。
オレね。緊縛モノって全然ダメなんだと実感した。興奮しない。エロスを感じないのだ(あ、ここでいう興奮というのは、即物的な意味ではなく、もっと精神面でのことですが)。同じく刺青もそう。だから延々と続く緊縛にはちょっと、いやかなり辟易した。しかも映画としてはどうもそこにツボがあるらしい。まあもともとそういう話なのだから、当然といえば当然なのだけれど、それはわかっていたんだけれど。
しかも、縄師は、どうもストーリー上で役としてやっているというより、本当に本当の縄師がやっているというヘンな生々しさ。話の中で浮いている。SM映画を観ているのではなく、SMAVを観ている感じ。
さて、そんなこんなで、話としての核/起承転結がないまま、結局縛りをやりたかっただけなのかよという感じでそのままジエンド。最後まで、ストーリーを語るためなのかリビドーを吐き出す為なのかのバランスが取り切れぬままであった。2時間という時間をかけてまでやる内容じゃあ、なかったな。
★★★ ☆☆