CHART-DATE : (2004/03)

題名

愚者之瓶詰
… グシャノビンヅメ

(脚本/監督:山口 洋輝)

お話

 上に参りまぁ〜っす。

感想

 不思議な話。奇妙な世界観。設定としては、縦層世界系SF(?)で、最近けっこうみるタイプではあるが、退廃都市的ビジュアルで、それなりにリアリティを獲得している。
 で。舞台を基本的にエレベーター内に限定し密室劇/心理劇とすることで、設定上、派生するであろう様々な要素を拡散させず、ストーリーにずれない流れを作り出している。だから、突然異能者の話が入ってきても、そちらのほうに話が必要以上に流れず、基本ラインの心理劇にもどることができている。作品によっては話がどんどんずれていってはじめと最後では全然違うものになっていてそれが味になるものもあるが、この作品にとっては、このような奇妙なテイストで一直線な感じで正解ではなかったのではないかと思う(それはエレベーターという直線移動の箱のメタファーでもあろう)。

 ラストの極刑のオチについては、選択肢のひとつとして当然あるだろうなと思っていたので、まあ順当な感じかという程度の感想ではあるが、手堅くきれいにかつ適度に意表をついた形といっていいのかもしれない。

 バジェットの低さで端々のチープさは否めないが、それでも話の異形さの魅力は十分に感じた。もしもっと金をつぎこんで再作成することがあったら、もっといい作品になっていくかもしれない。

補足

  1.  ジャンルとしては、SFともいえるし、ミステリーともいえるし、サスペンスともいえるのだが、しかしオレとしてはメルヘンだな、と思った。悪意ある大人のメルヘン、寓話だね。しかし、よく考えると、SFもミステリーもメルヘンも相反するもんじゃないな。
  2.  密室劇にするメリットのひとつは、低バジェットによるロスを押さえるってこともあるよね。
  3.  エレガの衣装にちょっとピンッときた。ほら、革好きだから?
  4.  数多い映画鑑賞の中で、監督とかの舞台挨拶に出くわしたのって実は2回目。あれってちょっと恥ずかしいんですよねぇ。

星取

★★★ ☆☆

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