CHART-DATE : (2005/02)

題名

洋と12人
… オーシャンズ12

(監督:スティーブン・ソダーバーグ)

お話

 オレタチ、天才だ! ヘイ、ヘ・ヘイィ〜(?)

感想

 またもや役者が楽しんでる映画。脚本が面白くてノッテルんだなぁということが伝わってくる。だから観客も一緒にワクワクする。そういうタイプ。ただ、前作のようなストーリー自体が面白いのではなく、会話というか役者同士のやりとりが面白い。そういう意味では、あまり頭を使った脚本かというと、ちょっと違うのかもしれないが、まあそれはそれ。
 で。ともあれ、会話重視の展開となってしまった関係上なのかどうかはわからないが、おかげでストーリー自体は判り難くなってしまっている。例えば、「オーシャンと12人って云うんじゃない」とか「オーシャンの年齢はいくつなんだ」とか、本筋とは関係無い、脱線気味というか、どーでもいい雑談がところかまわずばら撒かれており、それにあわせて演出もわざと雑っぽく仕上げられており、演出面でも素直じゃなくなっている。実際、ストーリーも、誰が誰に罠を仕掛けて、誰が誰から依頼を受けて、とかなり入り組んでいる。追いきれない程の混乱はないのだが、まあ、そんなわけで脚本と演出のとっつきにくさが、判りにくさを助長してはいるな、と思った。

 もっともそんなひねくれ感は嫌いじゃあない。むしろ好きなんだけれどね。

 もうひとつのチェックとしては、なんだか“おバカ度”が増しているような気がして、当初の狙いである「小粋なコンゲーム&泥棒ストーリー」じゃあ、なくなっているな。と思った。オーシャンやラスティは判るとしてライナスまでもが、思いっきりバカっぽい。で、けっこう単純なトラップにはまって警察にあえなく逮捕されたりする。オフビートな笑いに満ちた雰囲気で魅せるタイプのコメディタッチクライムストーリーってのも、切り口としてはアリだし、これもまた悪かぁない。
 と思いつつみていたら、やられた。最後で騙された。みんな演技だったとは。まあ、いろんな意味で一癖も二癖もあるので、誰が誰をどう騙しているのか最後の最後まで油断が出来ないぞ、とは思っていたので、途中、警察につかまるのも作戦のうち。かもしれない。あるいはそうでなくても、どこかで大逆転があるのだろう。と思っていたわけだが、あそこまで遡ってのヒッカケとはちょっと思わなかった。FBIの正体(ニセだろうとはすぐに思ったが、お母様とは!)も含めて、そうきたか! と、唸らされた。全編に満ちたバカ演出に騙された感じだ。

 てなわけで、相変わらず小粒(役者はビッグだけどな)だけど、ピリッと面白い映画に仕上がっていた。

補足

  1.  キャサリン・ゼタ・ジョーンズの顔立ちが昔と全然違う。もう吃驚仰天。
  2.  ジュリア・ロバーツいじりネタは、大いなる楽屋落ちなのか。はたまた脚本家の大いなるアテ役なのか? まあ、そりゃ他に演じられる役者ないもんね。卑怯っちゃ卑怯な手法だよ。でもって嬉々として演じるカメオ出演のブルース・ウィリス。ホテルでの出会いのシーンでの脚本の細かいくすぐりラッシュに大笑い。
  3.  泥棒技にひとつひとつ名前がついているのが、面白かった。
  4.  隠語会話の無意味な訳の判らなさ。意味があるのか、ないのか、全然判らん。「ロストイン・・・」の引用っていわれても観てないんだよ。観なきゃダメ?

星取

★★★ ☆☆

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