CHART-DATE : (2003/12)
Killing-Angel 殺し愛
(監督:金子 修介)
なんなんだこれは!(チャンバラは爆発だ!)
画面が良くも悪くも落ち着いている。ケレン味を排除した、至極スタンダードな演出で、シンプルイズベストな印象が強い。
監督金子修介は、あえてアクロバティックな演出を避けたのだろうと思う。前作との比較ということもあったのかもしれないが、それはあずみというヒロインを“普通の悩む少女”として描くためのひとつの回答だと思う。それなりに成功かなとも思う。
今回、戦闘級の話(あずみ達刺客の闘い)だけではなく、戦略級の話(豊臣と徳川の駆け引き的な部分)が、入り込むことで、ストーリーに多少なりとも奥行きが産まれてきている。そうなることで、逆にそれぞれの登場人物がコマとしてではなく、個人として、どう感じ、どうしていくのかという、感情論が浮き出してきている。故に単なるキリングマシーンの話に終わらないってことになっている。
また、生き残りの一人ながらやこづえといった、本来もっと見せ場があってしかるべき登場人物が意外とあっさり死んでいくのも、運命/使命の是非というテーマに似つかわしい(勿体なくはあるが)。
総じて、これが「スーパーヒロインの物語」ではなく「一人の少女の自己の葛藤と変化の物語」というテーマから表現される部分であり、ストーリーにも演出にもブレがない。だからそれが、超人としての描き方は不用というか、超人であってはならないってことにつながっている。
反面、そのせいで、剣戟アクション映画/チャンバラ活劇としての醍醐味は減じてしまっていて、そういった爽快感やケレンを感じさせて欲しかった、もっとカッコイイアクションが見たかったというぞという気持ちも多分にあるものまた事実である。あずみの強さ凄さを映像として表現しきれてはいないな、とも思うの。ケレンとハッタリのあふれる映画が好きなオレとしては、観たかった映画とは違ったなぁという感想はどうしてもあるのだ。
ま、映画として無理がないってのは佳作の証拠でもあり、それはそれでよいのだが、娯楽映画として、そこらへんの兼ね合いは本当に難しいところだ。
★★★ ☆☆