Informed Consent
( 同意による告知 )
あるいはたんなるゆがみ自慢
感想は十人十色
人はそれぞれツボが違ってあたりまえ。だから映画の好みも感想も当然のように違うのが普通です。そもそも主観的な感想が第三者にとって「正しい」などと誰がいえるでしょう。自分にとっては“正しい”感想でも他の人からみた場合“歪んでる”ことは十分にあることでしょう。そもそも自分の感想自体、その時の気分で変わりますし、時間がたつにつれても変わるものです。誰にとっても、そしていつの時代においても不変の感想などありえないのです。
ここからわかることは、(それがあくまでも主観的感想である限り)他人の感想に対してとやかくものではないということです。また、それが正しいと思って読む必要もありません。「ああ、そういう考えの人もいるのだなぁ」その程度のものなのです。
評論なんておこがましい
本来、『評論』と個人の『感想』とは異なる。感想は観た者の主観を書き連ねて出来上がっているものだが、評論は(原則として)個人の感情は排除された、事実をもとに仮説をたて、その実証によって成立するものである。例えば、類似作品や監督の作品傾向、時代背景など様々な視点論点を設定し、比較検討する。評論たるもの、論ずる背景として最低でもこの程度は調査すべきだ。
なにより主観ではなく客観であること。これが重要なことなのだ。個人の感情論は不要だ。単なる自分の感じたこというだけならそれは感想でしかない。逆にいえばパーソナルな思いや感情をつづることは感想なのである。
ここで注意しなければならないのは、感想が評論よりランクが下なのではないということだ。上下ではない。あくまでも性質が違うだけなのだ。
ファンダメンタルであれ
あくまでも観た映画それ自体を対象としたいし、そう心がけている。映画の中で語られていないことまでは手を出さない。ってわかりにくい説明かもしれないけれど。つまり、
「あの作品よりここが…」とか、「あの作品からこんな引用が…」とか、そういうのは極力しないってこと。
しょせんは映画の感想でしかない。中途半端にほかの作品と比べて、「この映画よりあっちのほうがよかった」とか、そんなの嫌らしい感じがする。いいたい気持ちも分からないでもないけれど、でも、だったら観なくていいっつーの。自分の「おきに」を繰り返し繰り返し観てりゃそれでいいじゃんね。
だからシネセラでは、最低限のマナー、てゆーか義理立て、ってことで映画の中で描かれたこと、それだけで感想を完結させています。多少無理がでるのは承知だけど、ね。ま、もっともそれも絶対要件なんてもんじゃなくって、あくまでも基本的にはってことですけど。
映画は誰のもの
だいたいなんだ、映画感想ってどうして役者ばっか取りあげるんだ? 別にいいけどさ、おめーらナニ観にきてるんだよ、って感じ。いやそりゃ確かにわからんでもないけどね、映画ん中で一番目立つ存在だし感情が入りやすいからさ。そっちに目がいっちゃうのもしかたがないかもしれない。しれないことだけどさ、役者なんて所詮は映画のパーツでしかないんだよな。
じゃあ、なんなんだよってことになるんだけど、映画っていままで多かれ少なかれ“発見”であると思うわけよ。具体的には「話、アイディア、演出」だ。思ってもみないようなアイディア、話、そしてそれを魅せる技術としての演出(実は“演技”てのは“演出”のひとつなんだよな)、ビジュアル表現、これこそが映画だろ、とオレは思っているわけだ。
ビデオで観てもいいけれど
なにより劇場で観ることが大事なのじゃ。別に劇場礼賛といいった感傷的な理由ではない。もっと実際的な理由じゃ。
まず、劇場を同じスクリーンサイズをTVに求めるとなるとじゃ、1メートルくらいで鑑賞しなければならん。これでは眼が悪うなっていかん。
また、劇場が画を観るための場所という前提であるということは、途中で邪魔なく集中して観ることができるコンセンサスができているということでもあるな。
さらに、料金を払うことによって多少なりとも映画産業の存続に協力できたという自己満足もあるじゃろう。
他にもいろいろ理由はあるが、ま、これだけでも十分に説明になったじゃろう。
観なければはじまらない
まず観ること。観ないでアレコレいうなんて言語道断。予断は正しい判断を狂わせるだけです。
前評判とて所詮は他人の感想です。たとえ、観た結果それがどうしようもなくつまらなくても、観なければそれがクズかどうかはわからなかったのです。世界中が「こりゃダメだ」といっていても、もしかしたらあなたの趣味にはジャストヒフィットしているかもしれないのです。
観なければわからない。すなわち『シュレディンガーの猫』なのです(そうかぁ?)。
結論として
『シネマセラピー』とは、映画のレビューや評論といった“大層”なものなどではなく、映画の個人的な感想をダラダラドロドロと書きつらねだけのものです。観終わった方が読んで、『ああ、そうそう。そんな感じ』とか『何云ッてんだ、こいつは』と思ってもらえれば十分です。
また、その映画を観ていることを前提に書いていますので、(基本的には)未観者のためにストーリーや見どころを説明するようなことはしていないし、オチやネタばれなども気にせず書いています。というわけで、これから観ようと思っているような場合は、そこのところを気をつけて読んでください。