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奥鬼怒湿原

OKUKINU-SHITSUGEN


『天上の楽園〜奥鬼怒湿原〜』

 蒸し蒸しする梅雨が続く6月だった。インドアばかりでは息がつまる。行こう! 外へ!
 いくつか候補があがり、算段の末、選んだのは奥鬼怒である。前々から行きたかった場所でもあり、また天候があまりにもひどかった場合でも、山奥の温泉に入れたということで満足できる。なにしろ梅雨の前線が関東に迫っており、当日も神奈川県は朝からドシャ降りだったのだ。そんな状況でも“行きたい熱”の方が勝っていたということだが、はたしてその結果は…


(1)天候不順なれど
 観光のシーズンオフに加えて天候不順ということもあり、正午には奥鬼怒へ到着する。天の配剤か一時の迷いか、天候は時折ザーッと雨が落ちてくるものの、基本的には曇り、たまに太陽が顔を出すという不可思議な状態だった。もとより雨を想定していた一同はせっかくの雨具装備を持ってきた甲斐がないなどと不埒なことをいいながら、その日の宿へ向かう。
 川沿いの遊歩道を2時間。大した距離ではない。登りもさほどきついものではない。にもかかわらず、ものすごくしんどいのはなぜだ? 荷物だって本格山行に比べれば比べものにならないほど軽装なのに。身体がなまっている証拠なのだなぁ。


(2)理想の宿だった
 ようやくたどりついた宿は霧雨に包まれていた。奥鬼怒で一番深い場所にたたずむ古びた山小屋風の秘湯の宿。というより山小屋そのものである。一見古ぼけてみえるが、旅情あふれる造りは実はこまめにメンテナンスされていて心地よい。食事も山川の美味(クレソンの天麩羅が絶品)にウマ酒でいい気分。温泉も野趣あふれる露天で大満足。一同「明日、雨で登れなくてもここに来れただけで十分モトとってるね」とうなずきあうことしきりであった。


(3)予想は大幅に覆され
 早朝。あまり期待せずに起きると、ちょうど日の出の時間だった。
 日の出? そう、太陽が出ていたのだ。空を見上げるとものすごい勢いで白雲が流れている。風が強いらしい。となれば、絶好の山日和ということだ!
 そそくさと朝食をとり、出発の準備をする。しかしそれでも他の泊まり客はとっくの昔に出発しているという。オソルベシ、本気のやまやサン。

 さて、目指すは日本で最も高所に位置するという奥鬼怒湿原である。かねてより一度行ってみたいと思っていた、憧れの場所である。しかしこれが予想外に手強かった。ひたすら湿原に向けて急登を歩くこと2時間。宿に大きな荷物を置いてきたからいいものの、それでなければいったいどうなっていたことか。

 登るにつれて植生が普通の山から湿原的に変化するのがわかる。そしてとうとう到着。目の前に広がる淡緑の絨毯。ところどころに湿原ならではの花が咲いている。空は青く雲は白く、訪問者は数えるほどで、あたりは静寂に包まれている。来てよかった。本当に来てよかった。
 今度は紅葉の時期に来てみようか。それとも積雪の中、スノシューで温泉に入りに来ようか。ともあれ、大成功の週末だった。

 ただ、肉眼では青く見えた空には薄雲がかかっていたせいか、写真では白く飛んでしまった。うーん、風景写真は難しい。


date1999/07/03〜04
locationOKUKINU-SHITSUGEN

camera Rollai-35SE
film KODAK ROYAL GOLD 400


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