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ゴールデンウィークである。となれば当然どっかへ出かけたくなるのが人情、なんてことをいいながら毎年日本各地を右往左往してきたわけだ。
今回のメンバーは、ぽんすけ、長丼、みやくん、そしてオレの4人。前夜に、横浜駅で落ち合い、夕食を軽く済ませると、早々に第1の目標である青森へ向かう。
そう、今年の目的地は『みちのく』。北東北である。本当は八重山リベンジを考えていたのだが、足(というか翼だな)が確保できず、その結果、まったく反対の北路を目指すこととなったのだった。しかも全行程、車で移動。確かに融通がきいて格安というメリットはあるが、ちょっと遠過ぎはしないか? さらに前述の紆余曲折のせいで初動が遅れており、細かいところまでつめきってはおらず、また、宿が完全に確保されていないなど、いろいろと問題含みのままの出発である。
でも、別に心配はない。最後はこれまたいつものように「まあなんとかなるでしょ」というアバウト作戦で大丈夫。のはずだ。
それでも、いつなく早い出発は、当然だが遠距離移動を考えてのことだ。なにしろ本州の北端まで、たどり着かなければならないという強行軍である。
「これは時間との戦いだ」
そんな言葉が一行の頭の中をよぎったとかよぎらないとか。いや、よぎっちゃいない。車の中はバカ話が飛び交い、へんなテンションだけは猛烈に高まっていた。
しかし実際、危ないところだったのだ。首都高は仕方がないとしても、東北道に入って、深夜をすぎても渋滞は一向に収まらず、遅々として距離を稼ぐことができない。なにしろ交通渋滞に事故渋滞が重なるという状況でどうやってスムーズに動けるというのだ。しかも北に進むにつれ、濃霧や豪雨と天候までも我々の行く手を阻む。
これはいったいどういうことだ? 我々を近寄らせまいとするなんらかの超自然的な意志が働いているのか? 目的地が目的地だけに、おちゃらけな人間はオフリミットとでもいいたいのであろうか。
福島あたりでのカーナビ推定の到着時刻予想はなんと午後5時。これでは到着する事自体難しいかもしれない。いったいどうすれば…
結局のところ。宮城県に入ってからは車も流れはじめ、最後にはなぜかつじつまもあって、それはもう絶妙なまでに予定どおりに最初の目的地、恐山にたどり着いたのだった。