▲南船北馬トップページへ

八重山へ今度こそマブイを拾いに?  …4

 崩壊ビーチャー   

 しこたま飲んだせいで3人ともかなりハッピーかつハイになっていた。
 八重泉酒造は山の中腹にあった。かなり見晴らしのよい、心地よい風景だ。石垣市街が一望できる。市街までの山肌にはサトウキビの畑が広がっている。割と近い距離のような気がした。まだ太陽がギラギラと照りつけていた。そしてそんな太陽の下を歩くのは気持ちがいいだろうなと思った。思ったのが運のつきだった。

 一瞬、タクシーを呼んで帰ったほうがいいんじゃないのかと考えないではなかった。しかしなんとなく歩き始めてしまい、そしてなんとなく道は続いていた。もし、ここで行きどまりになっていれば、あっさり引き返してタクシーを呼んだろう。しかし道は右に左に曲がりながら行き止まりかと思えば次に進む道が開け、そうこうしているうちに引き返せないほどに歩いてしまっていた。下り道で楽だったというのもいけなかった。
 もちろんサトウキビ畑をのんびりほとほとと歩くのは心地よく、それはそれで楽しいひとときであったのだが、街は思いの他、遠かった。なんだかんだいって1時間以上も炎天下を歩いてしまった。しかもハッピーハイなおかげでバカな会話が弾みまくり、そんなに時間がたっていたとは思わなかったのが逆に悪い方向に働いていた。

 そんなこんなでようやく市街にたどりつくと、道すがらということもありハイな気分はそのまま、今度は御獄や井戸などを観光する。しかももうひとつの酒造に入ったりして、そこでやっぱり試飲したりして(もちろんすでにヘロヘロなのでさすがに一杯程度だったが)、宿に着いたのは4時過ぎ。荷物を部屋に運び、シャワーを浴びるとベッドに倒れこんだ。なんとなく体がだるい。熱を持っているし喉が乾いている。今にして思えば軽い日射病だったのかもしれない。いや日射病だったのだ。日射病からくる脱水症状だったのだ。おかげでせっかくの石垣の夜をベッドに倒れ込んだまま8時半まで寝込んでしまう。
 台無しである。なにしろ本当は民芸酒場に行くという目的を果たすために石垣島泊を設定したのに。なのに、店に行く気力は起きなかった。
 なんということだ。しかしこのままだと夜中に腹が減って眠れなくなるのも困るという理性(あるいは意地汚い煩悩)が働いたせいで、民芸酒場には行けないとしてもとりあえず夕食はとろうと、部屋を出たのが9時過ぎ。結局、去年同様『南風』でメシを食べる。
 酒は飲みたい気持ちはあるが身体がそれを許さない。仕方がなく初っ端からサワーにする。なんだかんだいって飲んでるわけだが、さっぱりとしたシークァーサーハイはむしろ身体にじんわりと優しい感じがした。
 料理も地の魚の唐揚げも美味しいのはわかってるのだが、今の自分には油がちょっときついので本格的に堪能することができなかったし、2杯目からはすでにサンピン茶モードに入り、もう完全にダメ人間状態。あまつさえ隣の席で余ったサワーの割水をかっぱらいガブ飲みする始末。飲み過ぎはいけないと心底反省するのだった。


次のページへすすむ