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美しすぎる山の稜線 早朝の混浴露天風呂(ただし無人) |
ヒュッテで預けていた荷物をピックアップし、さして休む間もなく帰路についた。往路と同じルートなのでペースも早い。同じ東屋で昼食をとる。今回は他に2パーティと相席となった。軽装の4人組は日帰りでの雪山ハイクでワインやビールなどなど持参のお気楽組、もうひと組はその日のうちに黒百合まで行き、翌日南八ツまで目指すかなり本気の中年女性チーム。そこに無駄にオーバースペックなお気楽コンビの我々が一緒になったわけだが、それぞれ何となく場違いな感じがあってちょっとおかしかった。
遠目に見える北アルプスの稜線が美しい。惹かれるものはあるが、冬の時期にあそこにいくにはオレはまだまだ経験値が低すぎる。双眼鏡で観ればそんな雪山の岸壁にはりついている人が見えた。ふう。
天候は再びゆっくりと悪化し始めていた。山の天気なんてこんなものだ。
あっという間にロープウェイ乗場に到着した。あとは下の駐車場まで降りるだけだ。ロープウェイであっさり降りてもいいのだが、ふと脇をみると下山用ルートがあるのだった。トレースもついている。時間的にも余裕があって、体力的にもまだまだいける。ならばロープの料金をケチるべきでしょうというわけで、そそくさと下山ルートに進む。いや、本当はケチった訳じゃなくてまだ歩き足りないからだったということは付け加えておかねばならないだろう。
これが予想外に楽しかった。ひたすら下るだけという気楽さにくわえて、ゲレンデわきに沿って歩くため、人工降雪機の力で下山ルートのほうにも雪がある。しかも林間なので雪が多く残り、雪道行の雰囲気は満点。
ときおりゲレンデをみるとガリガリのアイスバーンを滑り降りたり転げ落ちたりするスキーヤーをみることができる。5年程前は月に数回、日帰りもなんのそのという感じでゲレンデ通いをしていたのものだが、今こうしてゲレンデを目の当たりにしてみても、さほど滑りたいという気にはならないのだから、人間変われれば変わるものだ。
半分も下ると雪はどんどんなくなってゆき、単なる泥まみれの低山ハイクという状況になってしまう。アイゼンもシェルも泥だらけで嫌な気分になるが、それもまた雪山の一面なのだった。
1時間も歩いたろうか、ふたりは駐車場にポンと放りだされる。これにて今回の山行は終了。というわけで、不満もあれどそれなりに楽しめた1泊2日であった。この後、ふたりは残った1泊分の予定は麓の温泉旅館に飛び込み、食いきれない程の鴨鍋やサーロインステーキという超豪華夕食に食いつき食い疲れたり、混浴露天風呂で恐縮したりとこれはこれで面白い旅を味わったのであった。