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ソウルぶらり旅  …3

 ナイト・ウォーク! お調子者   

 とりあえず荷をおろして身軽になり外へ出る。仁寺洞を散歩しつつし、これからの計画を考えた。
 伝統茶屋でお茶でも飲もうか。あるいは小腹が空いていないでもないし、もう少しちゃんとしたものを入れるか。もう4時半だし、夕食にはちょっと早いか、微妙だなぁ。でも、ここで食べると、あとできちんとした夕食が食べれないかもしれないしなぁ。
 なんてことを思いながらいつの間にか、道はずれまで歩いてしまった。すると、目の前にカルククスの店『ケッマウルミルバッチッ』があった。つい、入ってしまう。小腹パワー恐るべし。そのとき脳内では「夕食の時間を遅らせればいいか。仮に腹が減ってなかったら、そのときは屋台で軽くすます手もあるしな」という計算が一瞬にしてなされていた。
 で、あさりカルククスが有名な店だし、もちろんそれを注文する。あさりから充分すぎる程の旨味成分がスープに溶け込んでこれが実に上手い。麺も讃岐を思わせる太さ腰の強さで実にオレ好み。ただ、ひとつだけ云わせていただくなら、こちらの文化なのかもしれないが、あさりの砂出しが完璧ではなく、多少ジャリ感があったこと。もしかしたら、あさりは完全にダシとしてしか使ってないのかもしれない。本当はマンドゥも有名なのだが、それまで頼むのはやめにした。頼んでおけばよかった。

 その後、東大門に向かう。が、来訪3度目の土地勘を過信しすぎて道に大迷い。目的地まで大きく弧を描くようなルートになってしまい、無駄に体力を使ってしまう。小雨降る中、なにをやっているんだか。
 本格的な買い出しは後日ということで、今晩はとりあえずの下見程度のひやかしで広い市場を見てまわる。あえていうならネクタイと皮製品はしっかりと値段調査しておこうと思っていたが、あにはからんや、これが全然見つからない。7年前とは店の配置状況も変わってしまっているのか。
 途中、市場前の屋台街はすでに夕方の喧噪が始まっていた。イカの丸焼きやジョン、チヂミをつまみに焼酒を飲む者たちが集まってきていて、実に心引かれる光景ではあったが、いかんせん、満腹だしなぁ。後ろ髪を引かれる感じで先に進む。
 今回の目的のひとつである革コート購入のために光煕市場2階に行くも、ほとんどの店がシャッターを下ろしている。お休み日だったのだろうか。「歩き方」では土曜夜が休みとなっていたが。てなわけで、結局見たい製品は見つからず、なんとなく市場を彷徨いただけに終わってしまった。
 市場に見切りをつけ、ドゥタ、ミリオレ、フレヤのフャッションビル3連発。目当てはとりあえずの革カバン。だが、オレの所望は厚手のハードタイプなのだが、こちらの傾向はきれいに鞣したソフトタイプばかりで簡単に挫折。ビル自体も3館ともオレの求める雰囲気とは少々異なっていて、ようは若い女性向けでオシャレ感入っているのか、少々大人しめ(もっとも平日のせいもあるのかもしれないが)。どうもひやかし半分だと自分から声をかけるのって、いかにも買う気あるみたいで、気が引けちゃうんだよなぁ。そんな中では、ミリオレだけはやや活気があり、客を掴まえようとする意志が感じられた。いずれにせよ、あまり長居する要素はないと思い、宿にもどることにした。

 で。もどりはもどりで地下鉄駅が見つからず、さりとて小雨降る中ガイドブックを開く気にもなれず、しかもまたまた当て推量で進むものだから、結局必要以上に歩き回ることになり、無駄に体力を消耗してしまうのだった。
 体力を消耗しても消化はしなかった。結局、腹はくちいままだった。だったらもっときちんと食べときゃよかったよ、と後悔しても役立たず。宿近くまでたどり着く頃には、疲れたし、明日から精力的に頑張るためにも、今日は早いとこ休もうという気分に満たされていた。なにしろまだ2日も夜はある。今日は部屋でビールでも飲んでお疲れってことにしようと決めた。これが間違いだったことはそのときは気づきもしなかった。
 まずコンビニでビールを購入する。あとは屋台でトッポギあたりを買ってさかなにしようと思っていたのだが、屋台が見あたらない。仁寺洞には屋台が少ないのだった。骨董街ということもあり、他と比べて店が早めに閉まってしまい、人が来なければ屋台もないのは自明の理である。まあ、その分、民芸居酒屋があるわけだが、今日はビール買っちゃってるし。結局、その近くでは唯一開いていた小洒落たパン屋でピザパンなどを購入。それをつまみにTVを観ながらビール。なんとなく寂しい初日の夜ではあるが、まあ明日から盛り上がるつもりでよしとした。


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