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ソウルぶらり旅  …6

 ミュージカル? お調子者   

 宿に戻り、ダラダラと言葉のわからないTVを観つつしているうちに夜になる。再起動。今日のメインイベント『NANTA』鑑賞だ。午前中、博物館からの電話は、この予約なのだった。
 さて、少々迷子になりながらも、会場にたどり着くと、予想どおりというか、予想以上というか、お客さんでにぎわっている。一応、平日なのでもっと少ないかとも思ったのだが。ということは、休日講演を鑑賞したいなら、予約は早めにしないといけないのではなかろうか。
 思ったより会場は小さい。サイズとしてはミニシアターといったところであろうか。席予約の際にちょっとケチってS席にしてみたのだが、位置は後方で、座席の配置は傾斜があるのでけして観にくいわけではなく、劇場自体も広いということもないので、悪い席というわけではないが、そこはそれ、やはり舞台に近い方がいいにきまっており、次回はケチらずVIP席にしようと思った。
 観客も、思ったよりは日本人観光客が多かった。どうやらツアーのオプションになってきているように思えた。というのもガイドが席まで案内しているケースがけっこう目立ったせい。オレとしてはこのくらいは自力でやったほうが経験値あがるし、なにより安上がりだし、と思いはしたが、半面、頼る部分は頼ったほうが(オレのように)迷子にもならずスムーズにすむなぁ、と思わなくもない。

 肝心の『NANTA』だが、思った以上にコメディ色が強い。無言劇風のコミックライブショーといった方がいいかもしれない。ストーリーの中でも、物語をみせるだけではなく、観客を舞台にあげてイジッたり、ちょっとした手品で場つなぎしてみたり、下ネタもあるし、と、細かい芸が満載で、飽きさせない演出が施されている。悪くいえばドラマとしての完成度に欠けるといえなくもないが、まあここまでエンターテイメントに徹して飽きさせないことがリピーターを作っているということだ。オレもそれにまんまとはめられたクチで、案の定、再度観てもいいと思っているわけで、常設舞台講演という面では実に成功していると思う。
 面白いというか、文化の違いを感じたのは、演者が舞台で使っている包丁は本物らしいこと。危険なんじゃないの? とちょっとビビッてしまった。また調理シーンでも本当に炎を使用しており、炒め物の香りが劇場内に漂うのもビックリ。消防法はどうなんだ? と考えてしまった。炎がそういうことだから当然野菜も本物である。かなり大雑把に扱われていて、勿体ないという気持ちがわくが、考えてみれば人工製品でやるよりも、地球環境的にはよっぽどローインパクトなんだよなぁ。
 演者も楽しませることを一番に考えているのだろう、ハイテンションで魅せる。気合の入り方が、すごいなぁと思わずにはいられない。そんな中でも、オレとしては、やはりへそ出し好きとしては紅一点を押したい。ちょっと変にテンションが高かくかつ微妙に角度のずれたキャラがツボにはまった。支配人役の親父も結構いい味出していた。とにかく観て大正解、大満足だった。ちなみにオレの観た回は黒チームだったのだが、他の色はどうなのかは次回以降のお楽しみだ。

 そんなこんなで、夕食というには少々遅い時間ではあるが、仁寺洞のワインにつけた豚三枚肉のを焼肉専門店に行く。肉は一人前にして冷麺でしめようと計画したのだが、「肉は二人前からですよ」といわれ、泣く泣く2人前を注文する。もっとも量的には二人前でちょうどいいくらいで、ジューシーで実に美味。サンチュもキムチも食べ放題なので、ウマウマハグハグと進むこと。そして焼肉ってなんで焼酎にあうのだろう。ヒト瓶が簡単に空いてしまう。多分飲み残すだろうから、宿で寝酒にしようと思っていた計画も、ぶち壊し。もっともこっちは自業自得だよな。
 と、結果オーライの夕食をとることができ、いい気持ちになって宿にのんびりと戻る。店を出ると小雪がちらついていた。ソウルはまだ冬である。


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