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台湾といえば、もちろん(?)夜市である。“ナイトマーケット”という名前が醸し出す雰囲気が好きなオレとしては、ここは外せない。
「まあ、初日だし、今日はとりあえず軽く状況を確認する程度にしておくか」と、台北でもっとも大きな夜市、『士林夜市』に行ってみる。場所は台北繁華街の中心部からは川を隔てたところに位置し、夜市の形成か所としては、素人考えではあるが、やや不思議な感じがする。が、まあ、それはいい。
平日で雨降りというコンディションで、それがどう影響しているのか不安はあったが、駅を降りると多少なりとも人の流れもあって、とりあえず一安心。夜市の正確な位置は判らないが、こんなもんだろうと、フラフラまわりの人の流れに乗る。そうこうするうちにゴチャついた小路にたどり着いた。
夜市デビュー。
が、しかし。そぞろ歩いていているうちに、自分の考えていた夜市のイメージとのギャップに軽く戸惑いを感じる。“夜の市”という言葉から想像するのは、「生活用品からジャンクな料理、怪しげな商品とありとあらゆるモノがうずたかく積み重なった屋台が所狭しと道をふさいでいる。それに群がる怪しくも活気ある人々」である(我ながら凄い色眼鏡だとは思うがそんなもんだろう? 普通)。だが、士林夜市は、基本的には屋台はない。あってもごくまれ。そして思った以上に胡散臭くない。屋台ではなく常設の店舗が夜遅くまでやっています。と、いうそういう構造であるらしい。
実のところ、士林夜市は駅前整備の関係で屋台、特に飲食関係の屋台は別の場所に移転していたのである。それを知ったのは宿に戻る道すがらで、しかも期待の屋台料理は、駅前整備の関係で移転しちゃっているせいもあって、有象無象の空間ではなくなっているというわけである。
というわけで、怪しげなストリートのそぞろ歩きを期待していたオレとしては完全に肩すかしを食らった感じだった。そもそも雨足もそれなりにある状況では、人の出足も悪くて当然。活気に欠けるのはやむなしなのだ。移転した屋台街へいけばまた状況も違うのかもしれないが、初日だしそこまで強行軍にする気分でもなく、本日はここまで。あとは後日のお楽しみということにした。