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今回の旅はホテルにモーニングバイキングがついていたのだが、最終日の朝くらいは外で食べようというわけで、散歩かたがた朝食探しに出る。裏手の路地に市場があり、人も出ているわけで、そういうところには当然朝飯屋があるはずだ。念のためいつもの自在食屋ものぞいてみたが、朝はやっていなかった。あわよくばそういう朝食もありかなと思っていたのだが、その選択肢はなくなった。で、うろついた結果、台湾の朝食っぽいものということで、ビーフン湯と魯肉飯にした。本当に極普通の現地の朝飯って感じで、路上に出されたテーブルもいかにもな雰囲気である。普通に美味いなぁという朝食タイムを楽しむ。
昼前には出発してしまうので、最後のお土産探しの一仕事をおえた後、いつものマッサージに行き、最後のリラックスを求める。朝イチだというのに思ったより人が多い。ホテルで見かけた顔もいくつか見受けられた。誰しも考えることは一緒なのだ。時間が限られているので、時間的な交渉をしなければならないのだが、昼間は通訳の人がいたのでそこらへんの不都合はなかった。さすがに深夜とは違うなぁと思った。施術師も深夜の若手オンリーではなく、おっさんもいたりして、なるほど夜は若手の勉強時間だったのかと推測したりもする。で、最後のマッサージは運がいいのか悪いのか親父の施術になるが、これが大正解、いや大失敗なのかもしれないが、そうとうにパワフルなのだ。猛烈に痛い。もうグリングリンとツボに入ってくる。ンギャと声も出る。おかげで台湾足坪マッサージの奥深さ、痛さを最後の最後で実感した。
空港に向かう途中にまたどこかの観光みやげ屋に連れて行かれるかと思ったら、あっさりと空港まで連れて行かれてしまった。実は買いそびれていた、いくつかの品があって、できればそういうところに連れて行って欲しかったのだ。前回の徹を踏むまいと多めに兌換しておいたので予算はないわけではない、あとはどう使うかだけだったのだ。しかしそんなささやかな野望も敵わず、年季の入った空港には土産屋がないわけではないが、レートが市内の数倍というふざけた設定で、買うにはあまりにも暴利をむしり取られるであろう状況にギャフンとなり、もういい! 物欲終了! と、逆兌換。もうこれで後ろ髪をひこうにも元手がないだろう、ざまあみろ。というわけだった。少々負け惜しみのような気がしないでもないが、すっきりした。あとは帰るのみ。持ってきていた文庫本を久しぶりに開くと、残された異国の地の時間をだらだらと過ごすのであった。
というわけで、台北とは、どうやら負け勝負であったらしい。やはり敗因は中華料理はひとりで食べるものじゃないということと、ウソの情報にまどわされたということだろうか。とりあえず、次回はこういう動きをすればいいということはわかった。再戦する気はまんまんである。そしてその準備は密かに着々と進んでいるのだった。