目標 200冊(以上)
現在106冊
( 2003/09/01 → 2005/04/18 )
yonda?クラブが再開した。ならば、アタックも再開しなければならない。これは法律だ。
前回の経験をふまえて、今回は特にシバリを設けず片っ端からこなしていくことにする。とはいっても、もちろん読書傾向の幅を広げるために普段なら読まないような本にも果敢にチャレンジしていきたい。それでは、どうなることやら!
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第1巡のyondaはこちら
絶叫城殺人事件
(有栖川 有栖)
ホームズ型の正統派探偵小説。謎自体は甘いし関西弁も浮いてはいるが思うが全体としては嫌いではない。表題作中での名探偵モノ特有の構造欠陥に対する言及が興味深かった。
作家の犯行現場
(有栖川 有栖)
変わった視点の紀行エッセイだがネタに対するツッコミが弱くやや中途半端な迷いが感じられた。紀行エッセイに対する俺主観との差異のせい?もっと写真を入れて欲しかった。
ニッポンの猫
(岩合 光昭)
愛おしい猫の姿に癒やされまくり。南から北までの日本の風景写真としても眼福。そしてその裏に隠れた猫達の置かれた現実に深く考えさせられる。解説カラーマンガに必快笑。
宮崎勤事件 塗り潰されたシナリオ
(一橋 文哉)
ダラダラと書かれて作者の主張が伝わらない。謎がみえない。結局、文章から伝わってくるのは異常な男の猟奇の助長だけ。理路整然とした文章展開ができていないんだよね。
ONとOFF
(出井 伸之)
いろんな意味での組織人として考えるべきことが平易に書かれている。帝王学としても学ぶべきところが多い。勉強になった。ただしOFFの面では相当にスノッブな人だね。
明るい旅情
(池澤 夏樹)
“明るい”とあるが硬質な文体のため南国のような華やかイメージはない。むしろ冷徹で端整なのだがこれが自分の文章リズムと妙にシンクロし面白かった。旅に出たいなぁ。
オウム帝国の正体
(一橋 文哉)
かなりディープな部分までつっこんだノンフィクションでエスピオナージとしても面白いのだが、作者のバイアスがかった策謀史観には少々辟易。でもここまで判っていて何故?
オーデュボンの祈り
(伊坂 幸太郎)
めくるめく幻惑。溢れ出るアフォリズム。語られる世界観・寓意感に感涙打ホームラン!パズルのピース(謎も伏線も)が全てが綺麗にはまり、心地よく着地する。見事!傑作!
ボタニカル・ライフ
(いとうせいこう)
再読。意図的に粗野な文章は理に陥りそうな己れを貶めるためで、それでも愛情は隠せないか。元生物学の徒である俺としては刺激されまくり。早晩、植物に手を出すであろう。
新さん
(泉 昌之)
泉節炸裂。主人公が違うだけで過去作と一緒?面白いからいいけど。新さんの無意識の奇行は笑えるが自分も省みるとちょっと怖くもなり。なんか酒が飲みたくなる話でもある。
魔羅節
(岩井 志麻子)
不気味だがホラーじゃない土俗的エロスだけの奇妙な短編集。下半身の業が恐怖的?マジックリアリズム的だがリアリティなし。表題、アレの干物かと思った。そっちのが怖い。
地中海の猫
(岩合 光昭)
愛くるしく小憎らしい表情仕草に翻弄されるのは仕方ない。猫好きにはたまらん。素早い一瞬の動作を切取る技術にも圧倒。時折開いて数枚の写真で癒されるのが正しい読み方。
春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る
(宇江佐 真理)
見た目程軽妙ではなく全編しっとりとした筆遣い。人情話は時代物にしっくりとくるね。学問の道への問いかけの物語でもある。師匠をはじめ脇役達の挿話にはかなり泣ける。
小川未明童話集
(小川 未明)
めでたしx2で終わらない、小さな奇跡や悲哀や無常を描いたけして子供向けではない童話。古くさい部分もあるが、時代を超えて通じるのは童話というスタイルならではか。
屍鬼
(小野 不由美)
視点移動による正邪転換がテーマ?力作で読み甲斐もあるがリメイク感を払拭する新味は感じない。吸血鬼モチーフが日本にはミスマッチ。最後まで科学魂が残れば傑作だった。
相棒に気をつけろ
(逢坂 剛)
爽快なコンゲーム小説に大満足。小気味よさとビターな感じが程良い。サクッと読み切れてしまうが、実はかなりの技巧派文体でこれまた侮り難し。続編が出るのが待ち遠しい。
まぶた
(小川 洋子)
幻惑的で背徳感漂う奇妙な味わい。ホラー/幻想小説のようで、実は人の業を描く純文学。区別したからどうというわけでもないが。語り口はいいがネタ的には求心力はないか。
アリゾナ無宿
(逢坂 剛)
恐るべき能読力。これぞ娯楽小説。あえて難を挙げるならエピソードが断片的とかクライマックスがやや弱とか?でもあくまでも些末事。主人公達の謎も未解決だし続編を希望!
キッドナップ・ツアー
(角田 光代)
共依存の両親と自意識過剰な娘の一夏の物語。その旅を通して皆が成長していくわけではないクールな視点が良くもあり悪くもあり。まあ、変に泣かせに走らないだけマシか?
ドグマ・マ=グロ
(梶尾 真治)
結局ドタバタ劇だったのねというシリアスを装ったハチャハチャホラー。ラストにSF作家のこだわりを見たが奇想ではない。文体がいかにもなジュブナイル調で微笑ましい。
骨の袋(上・下)
(スティーブン・キング)
主人公の悶々自虐の心象がダラダラと続くだけ。正直しんどかった。厚さ半分ですむ内容では?キングってこんなに読み辛かった?話に集中できず恐怖感も面白味も今イチ。
介助犬シンシア
(木村 佳友/毎日新聞阪神支局)
前に補助犬法成立の経緯について調べたことがあり概要は知っていたが、あらためて読むとやはり来るものある。正直ちょっと泣いた。等身大の福祉について考えさせられた。
ジオラマ
(桐野 夏生)
男と女の業のみを抽出結晶させた、ある意味嫌な話。短編ゆえ強調されるし。でもそれは欠点ではなくただ、あるといった感じが結構はまる。文章のリズムが合うのか読み易い。
巡礼者たち
(エリザベス・ギルバート)
平凡な市井の人々の人生の断片を切り出すいかにもな米国文学。シンプルな文章は上手いとは思うが、いかんせんこの手の話は嫌い。ダメ人間達の生活を見せつけられてもなぁ。
イローナの四人の父親
(A.J.クィネル)
面白かったことは確かなのだが、黒幕の正体含めてもうひとひねり欲しかった。本来有り得ない混成チームの二転三転の大活躍を期待していたのだが。前置きが長過ぎたのかな。
盲導犬チャンピィ
(桑原 崇寿)
あっさりした文章なので苦労もあまりなかったように読めてしまうが実際には苦労の連続だったんだろう。協会のゴタゴタや人間関係などもっと知りたかった。野次馬根性だね。
夜の回帰線
(マイケル・グルーバー)
3つの文体構成による技巧的サイキックミステリーだが、逆に視点や展開が散漫で読みづらい。3系統の呪術登場も混乱を招くだけ。もっと整理したほうが求心力増だと思うが。
そして粛清の扉を
(桑原 崇寿)
評判ほど過激でも凄惨でもなく、いろんな意味で理性的。醒めた文体のせいか?現実が追いついたのか?俺自身が病んでるせい?ドンデン返しにはなるほどそうきたかと唸った。
おかしな男 渥美清
(小林 信彦)
寅さんの土俗的粘着質な下卑た笑いが嫌いなのだが、これを読んだ後は別の観方をしそう。特に初期作品は観てみたいと思った。本としては作者の嫌らしさ姑息さが鼻についた。
笑伝 林家三平
(神津 友好)
俺の知る三平は晩年のそれだが若い頃の噺というか時事放談トークも聞いてみたくなる。伝記として文章の時間感覚が雑で流れが甘い。途中唐突に一人称化するのも違和感あり。
サマータイム
(佐藤 多佳子)
若書きで筆がすべったなと思う部分もあるが全編を通じて朝の光のような透明感があり見事。ベタな恋愛に至らない留めの感性もまた上手い。清々しい読了感に御馳走様でした。
ケナリも花、サクラも花
(鷺沢 萠)
軽く読めば単なる毒舌お笑い韓国紀行文。実はバランスの悪い生き方が下手な人間の自己告白記。考え方に微妙なシンパシーを感じ、だから余計そこまで云うなよという思いも。
私はそれを我慢できない
(鷺沢 萠)
天に向かって唾を吐くよな毒舌ぶり。自家中毒気味を承知の上で芸として表現している事は判るが、なまじ責めツボが俺の感覚と実にシンパシーを感じるので痛々しさも人一倍。
途方もない放課後
(鷺沢 萠)
毒舌が弱くなっている分内省的?でもないか。ある意味自家中毒気味?意図的なんだろうけれど。なんか自分のイタイ部分をみてるようで。自分らしく生きてるって大変だよね。
過ぐる川、烟る橋
(鷺沢 萠)
エッセイとは異なる、話として過不足ない分量の頁数で、簡潔かつ端正な文章で綴られる、男と男と女の話。然したる事件も起こさずに読者を引き込ませる文章力はさすが巧み。
青いバラ
(最相 葉月)
遺伝子アプローチ話に燃え俺の歴史嫌い科学好きが露呈。3種だけよく聞き知る名が登場すると気恥ずかしさもあり。しかしよもや青いバラが発表されるとはタイミング良すぎ。
地底迷宮(上・下)
(マーク・サリヴァン)
典型的だが物凄い求心力で一気読み。ちょっとしたドンデン返しも効果ありで正直かなり面白い。映画的で絵が目に浮かぶようだが暗黒の洞窟内の話なので実は映像化不可能だ。
神様がくれた指
(佐藤 多佳子)
全編を通じて感じるどことない不安定で奇妙な印象は、主人公達の未来に対する不安からか。ハートウォーミングな展開にも出来たのにあえてしない所に作者の意思を感じた。
江戸職人綺譚
(佐江 衆一)
人情話はあまり得意ではないが江戸の世話物市井物だと何故か許せる不思議。大工の大団円も化粧師や桶師の悲恋話もいい。トリを飾る老境の侍話が本全体を上手く締めている。
わが屍は野に捨てよ 一遍遊行
(佐江 衆一)
一遍の生き様に圧倒。話として面白い。だが俺は他力は違和感があり時宗はちょっと。後期のストイシズムは自力なのではないか。己の煩悩を無理矢理押さえるのも不健全では。
ナイフ
(重松 清)
読性が強くぐいぐい読めるがふと気づくとシビアな展開の辛さに呆然とする。最終的に希望が残っている事が救いで、それこそが伝えたいテーマなのだろう。大人こそ読むべし。
波のむこうのかくれ島
(椎名 誠)
写真満載のシーナ流エッセイ。ネタが他の本と重なるところも多く、俯瞰読みすると作者が何処で何をしていたのかが判るという意味でプライベート暴露的。しかし離島はいい!
飛ぶ男、噛む女
(椎名 誠)
悶々鬱々な話の連続で少々きつかった。怪談の体だが超自然的な恐怖より男女の業の怖さが主眼。フィクションといいつつ主人公の行動が著者自身と重なり作者の暗黒面を観た。
残響
(柴田 よしき)
異能の力を持った女性の再生の物語。ラストエピソードに泣かせる。能読力が高くて一気読み。設定上、推理が存在できずに、だからミステリーではなく純粋に物語なのだなぁ。
武装島田倉庫
(椎名 誠)
個々の短編が最終的に大きなつながりをみせる言葉力の強い異世界SF。独特の世界観を堪能した。シーナSFは他に類のない型。こういう終末系の作品をもっと書いて欲しい。
大江戸美味草紙
(杉浦 日向子)
全編を通し胃袋を刺激する事夥しい。酒肴的な品には猛烈に反応するが、江戸の味って基本的に酒とべらぼうに好相性な気がする。それにしても旨い肴で美味い酒が飲みたいね。
一日江戸人
(杉浦 日向子)
江戸風俗の体感指南と江戸風俗のミニ知識提供とが混在して本の企画としては未整理かな。まあ面白いので別にカマワヌけど。しかし江戸って生きやすかったんだね。いいなぁ。
オカルト
(田口 ランディ)
作者も書いているがエッセイなのかモノローグなのかフィクションなのか曖昧。が、それが味か。深い印象が残らないのは掌編故仕方ないが時折凄みのある話に出会い侮れない。
魚籃観音記
(筒井 康隆)
言葉遊びの氾濫する淫乱悦楽馬鹿話に我が口あんぐり別が口まんぐり。陰グリ悶グリ、グリとグラ。小説と云うより小話。いかにも筒井らしいネタを実に堪能させていただいた。
ワイオミングの惨劇
(トレヴェニアン)
典型的西部劇が実はフェイク。その裏で進む町の崩壊が真のテーマという超ヒネくれた話。どうりで時折訳の判らない文章が入るわけだ。正直呆気にとられた。ラスト1行に泣。
未確認家族
(戸梶 圭太)
低IQな登場人物が繰り広げる悪夢。全員破滅型人間で感情移入が極力排除され、誰が死んでも当然な爽快感すら感る。そう思う自分もまた悪?ラストの救われないピュアに涙。
てるてる坊主の照子さん
(なかにし 礼)
爽快なホームコメディのはずなのに何故か残る重暗さ。照子の放漫さが原因?それが普通の時代と云ってしまえば身も蓋もないが。実はノンフィクションだったのには少々驚き。
ポケットの中の野生 ポケモンと子ども
(中沢 新一)
決めつけは良くないが文系論文って検証と結論が曖昧で同じ内容を反復説明するわりに理解し難く、せっかく斬新で興味深い内容なのにとっつきが悪くなってしまうんだよね。
エンジェル エンジェル エンジェル
(梨木 香歩)
さわちゃんがコウコに何を見ていたのかの答を文章で語らない自制の聞いた筆使いが見事。超自然的なテーマを扱わなくとも人々のキビンだけでファンタジーは成立するんだな。
ぼくはこうして大人になる
(長野 まゆみ)
要するに白泉社系の良質なやおい少女マンガ。主人公の悩みっぷりはオトナになりきれていないそれで、青春だなぁって感じ。まあそれが同性愛ってとこに現代を感じるわけだ。
好色 義経記
(中丸 明)
ただでさえ下卑た内容に名古屋弁口調のせいで輪をかけて野暮な印象が倍増。別に換骨奪胎にもなっていないし正直1ミリも面白くない。自分に酔ってる感が俺には合わないよ。
面白南極料理人
(西村 淳)
おバカの集団。どこか破綻した者でないと極限生活は務まらないのか?まあプロだからこそのバカなんだろうけど。読んでいて猛烈に空腹を感じた。時折のレシピ情報が嬉しい。
強力伝・孤島
(新田 次郎)
人物造形をこだわりと感じるか固くなさと感じるか判断に迷うが俺的にはやや引いてしまう部分が多く今一つ。文体も硬質で読者を拒絶する印象もあった。つまらなくはないが。
食う寝る坐る 永平寺修行記
(野々村 馨)
あのマンガのおかげで予備知識バッチリ。さくさく読めた反面、いい子ちゃん的日常に邪推も。もっと面白お寺ライフ的な話もほしいな。著者の大人ぶりも実は弱さのせいか。
パラダイス・サーティ
(乃南 アサ)
主人公が男性依存願望で猛烈に嫌なタイプ。最後までハッピーにならず作者も好感持ってない?俺的には当然ビアンに感情移入。腐縁から新たな恋へちゅう話を期待したのだが。
しゃばけ
(畠中 恵)
江戸モノ変格ミステリーかと思いきやクライマックスに向けて一気にファンタジーに。若書きだけど上手い。俺はアニミズム思想なので違和感ないが一般的な知識じゃないのか?
整形美女
(姫野 カオルコ)
二人の女の内面を抉り出す物語。前半は美醜の価値観のサイコホラーでかなり怖い。で後半は精神と造形の不可分性の物語となりこれまた怖いんだ。アンチクライマックスだし。
超・殺人事件 推理作家の苦悩
(東野 圭吾)
東野ダークサイド、飛び道具連発の超バカ小説。ステキ!構造小説であって推理/探偵小説にあらずの確信犯。素に戻ると、だから?みたいな印象もあるがまあバカ小説だしね。
天保悪党伝
(藤沢 周平)
ワルというよりは義侠の無頼のピカレスクロマンに燃える。そして漢達の哀しき末路に涙す。河内山宗俊は小さい頃TVドラマを観た記憶があるが内容は全然憶えていないなぁ。
神秘の短剣(上・下)
(フィリップ・プルマン)
要は両親の人類補完計画を阻止しようとする過激少女の物語。暴力と策謀に満ちた内容は昨今のジュブナイルファンタジーとは一線を画していて新鮮かつ魅力的。クマがいいね!
黄金の羅針盤(上・下)
(フィリップ・プルマン)
ぐいぐい世界観が広がっていく快感。聖教臭さは閉口だが科学とファンタジーのバランスがいい。しかし登場人物が容赦なく死んでいき生き残るのは主人公含め性格悪ばかりだ。
琥珀の望遠鏡(上・下)
(フィリップ・プルマン)
ダイナミックでドラマチック。疾走感過多な展開に置いてかれそう。宗教的ネタもスパイス程度でよし。悲しくかつ希望あるラストが見事。異世界のオリジナリティに感涙した。
ルート225
(藤野 千夜)
酷い話。ジュブナイルSFを装っているが設定に対する解決がないのは卑怯。SFじゃない。主人公も自意識傲慢で魅力なし。それが今風なのか?少年少女には読ませたくない。
トレンチコートに赤い髪
(スパークル・ヘイター)
ミステリじゃなくてハリウッド映画的カジュアルロマンティックサスペンス。よくも悪くもカジュアル。TV製作会社の舞台裏的な楽しみ方もあり。主人公の性生活はじけすぎ?
ボンデージ!
(スパークル・ヘイター)
前作に比べ謎解き犯人探しの比重がやや強くなりその分疾走感は減ったか。まあ軽いことは軽いがそれなりに面白いのでOK。主人公の働く女性のサクセス小説的雰囲気もあり。
編集狂時代
(松田 哲夫)
好きな事を好き勝手にやってきた半生は爽快ではある。考現学やサブカルなど対象ジャンルが俺ツボで若かりし頃の想い出と相まってホロリ。別に足を洗っちゃいないんだけど。
天国の本屋 うつしいろのゆめ
(松久 淳+田中 渉)
話題先行型は否めないがデキが悪い訳でもない。少女マンガなんだよね、結局。イラストが多いのは悪かないが紙質がかなり厚めでそこに必然性はあるのかと、ちょっと疑問符。
生物学個人授業
(南 伸坊/岡田 節人)
変則的な文章で読みづらいが、生物学という自分のフィールドでの久々のお勉強は興味深く楽しめた。もっとも発生学は苦手なんですけどね。遺伝子治療の講義はかなり目鱗だ。
不肖・宮嶋 南極観測隊ニ同行ス
(宮嶋 茂樹)
品性下劣にして傍若無人、露悪的な態度の裏にある冒険心とジャーナリズム精神。面白い。神(真実)は細部(下世話)に宿るってこと?それにしても過酷な天国だよ。南極。
不肖・宮嶋 踊る大取材線
(宮嶋 茂樹)
偽悪的露悪的傍若無人な報道写真家のクロニクル?イカス!しかし無茶な生き方しとるのう。報道写真のアイデンティティは芸術写真とは真逆なのがよく判り実に興味深かった。
格闘する者に○
(三浦 しをん)
負け話なのに痛くないのは一見ダメキャラな主人公達が実は意外に誠実で真摯に自分の将来を見据えていて、なし崩し的な人生転落も内向化もせず実に真っ直ぐだから。いいね。
鎌倉のおばさん
(村松 友視)
題から想像される叙情的人情話とは極北。村松家にまつわるドロリとした味わいの私小説だった。最後まで全てがフィクションのように思えてならないが事実なんだよねぇ。
海辺のカフカ(上・下)
(村上 春樹)
啓示的にして形而的。話も面白いがそれ以上に文章の持つ力を感じた。実のところ話としては何も解決しておらず、謎の解明もへったくれもないのだが能読力で全て許されてる。
神はダイスを遊ばない
(森巣 博)
ギャンブルエッセイの様に始まり、美貌の女賭博師の再生の物語へと昇華していく。下世話かつ高尚、これギャンブル也だ。牌九のルールが理解し辛いのが我ながら哀しい。
可愛いエミリー
(ルーシー・モード・モンゴメリ)
少女小説の古典だし確かに面白いが、自意識過剰でわがままな主人公はじめ想像力のない高慢な婦人や少女嗜好の中年男など問題あり過ぎキャラだらけ。俺的にはイルザが好き。
赤ひげ診療譚
(山本 周五郎)
時代的なものもあるのだろうがそこはかとない反体制色を感じた。赤髭が予想外に饒舌で熱い親父なのが意外。医療といっても心の病が中心なのね。外科内科では話にならんか。
マリモ─酒漬けOL物語─
(山崎 マキコ)
OLコメディと思ったら予想外にディープな生き下手な者達が如何に自己肯定に至るかという心の旅的物語。前半の破滅型な生き様はバカ丸出し。後半の展開も個人的には好き。
浮かれ三亀松
(吉川 潮)
江戸っ子の気っ風のいい小粋な生き様に惚れる。どんなに破天荒でも一本筋が通ったところが気持ちがいいやね。しかし実際の芸を知らないてのがなんとも口惜しい。観たいぞ。
江戸前の男 春風亭柳朝一代記
(吉川 潮)
小粋で短気な江戸前っぷり。芸の道に生きる輩ってなぁ生き方も格好いいですな。でも若気の至りのやんちゃぶりはしどい。こういう先輩は持ちたくないね。寄席が呼んでるよ。
面影小町伝
(米村 圭伍)
因果は巡る糸車てな感じで要するに累の怪談。だから内容も少々重くせっかくの軽妙洒脱お気楽な持ち味が薄れてしまっていて残念。もっとラヴ&ハッピーでもよかったのに。
退屈姫君 海を渡る
(米村 圭伍)
相変わらずの艶笑風味大らか能天気時代劇で素直に面白い。話がサクサク展開してストレスフリー。登場人物が活き活きしていていい。海を渡るって海外かと思ったら四国とは。
沖縄なんでも辞典
(池澤夏樹編)
知ってること知らないことまだまだ沖縄の奥は深い。確かに歴史を紐解けば楽園だけではないよね。基地問題や差別問題等考えさせられた。それらも含めて旅心をくすぐられた。
秘録 陸軍中野学校
(畠山清行、保阪正康編)
面白かったが中野に対してネガティブなイメージがないので目鱗的な感想はないな。話題がやや散漫か?もっと中野出身者の実録エスピオナージ戦をじっくりと読みたかった。
オトナ語の謎。
(糸井重里監修、ほぼ日刊イトイ新聞編)
なるほどと思ったりそうか?と思ったり。でも社会人生活も長いと目鱗というよりはアルアル的な面白みとなるのはしかたないか。新鮮な驚きが得られないってのは実は不幸だ。
言いまつがい
(糸井重里監修、ほぼ日刊イトイ新聞編)
脳内誤変換ジャンルって大好き。クスリと来たり俺もそうだよと頷いたり。ただ全編大爆笑とまでは行かず俺の感受性が弱くなってきている?ちょっとそれは困ったことよなぁ。
極短小説
(S.モス/J.M.ダニエル編)
玉石混合の極みで出来不出来の差が激しい。話として展開するには文字数に無理があり、あらすじ的なのはやむを得ない。打率1割前後だが、たまに凄い本塁打があり侮れない。
中吊り小説
(吉本 ばなな 他)
作者が違えば十人十色。本当にタイプは千差万別。でもネタの奇妙さやビターエンドという短編の構造は共通していて面白い。挿絵描きの人がいずれも有名著名でそちらも見所。
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