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言い忘れたが、今回の旅の同行者は遊び仲間のぽんすけ君(以降敬称は略すが)だ。「今年の夏は全然アウトドアできなかったから、憂さをここで一気にはらす!」というのが、今回の旅の目的らしい。誰でも抱える問題(?)は一緒なのだ。
さて、15分ばかりで竹富島の桟橋に到着する。着いてみてちょっと驚いたのは、桟橋以外になにもないということだった。唯一あるのは八重山らしい赤瓦の四阿だけ。あらら、という感じである。ちょっとした土産物などの雑貨屋なんかがあってもいいようなものなのだが、もっともさほど広い島でもないので、高波などの危険のある海岸べりに店をおく必要などないということなのだろう。
店がない代わりといってはなんだが、桟橋には島内に散らばる宿からの出迎えが集まってきている。なるほど、石垣で連絡してほしいというのはこういうことだったのか。オレとぽんすけは顔を見合わせた。さてどうしたものか。
出迎え軍団の中のニィニィの一人が「宿決まってる?」と訪ねてきた。
「ええ、のはら荘さんに」と答える。と、ニィニィは振り返り、「おーい、のはら荘さんのお客さんだよぅ」
「はいはい?」と原付でネェネェ登場。たまたまというべきか、のはら荘のネェネェは他島から到着した荷物を取りに来ていたらしい。
「あれぇ、連絡入れてくれたぁ?」
「すみません、船が来ちゃったんで飛び乗っちゃいました」
「そうかぁ、じゃ、どうしよっか」
「あ、いいです。ここで待ってます。全然オッケーです」
なにがオッケーだかよくわからないが、島に到着したとたんふたりともなぜか時間なんか別にどうでもいいやという気分になっていたのだ。今回の旅の目標はあくせくしない。この場所では、この時間では、これをしなきゃというような日程も考えていない。だからここで少々待つくらい全然オッケー。そういうことなのだ。
四阿の下に移動して、早速ザックをおろすとほわわんと惚けるふたり。
すると、ネェネェが呼んだ。
「これで乗っけてもらえるようにしたから、乗って乗って」
軽トラである。近所の宿(?)の軽トラに頼んでくれたのだ。
しかし軽トラの荷台乗り。一応違反だったような気がする。でも、しかし、だからこそ楽しいんじゃないか。
ザックを投げ入れ、荷台に飛び乗った。
島の道を軽トラは走る。荷台に揺られる二人。気分はヒッチハイカー。すごくワクワク気分で、自然ににやにやしてしまう。