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疲れていたのだろう。夕食後、部屋で軽く眠ってしまう。起きるとすでに宴会の用意ができていた。
仮眠したおかげか、はたまた気温が下がったせいか、とにかく元気も飲む気も復活している。さっそく島酒をくいくい飲みながら、他の泊まり客とユンタクしていると、ようやく宿のオジィ登場である。三線の演奏を聞かせてくれるという。
一同、拍手とヤンヤの声援で盛り立て、オジィをのせる。そんな声援に照れることもなく平然と、宴会もとい演奏会が始まった。と、その前に歌集が配られた。コピーで作られた、いかにも素人っぽいつくりのそれは、なんでも以前、常連客が作ってくれたものらしい。なんか一昔前のユースっぽい感じがして腰が引けてしまう気持ちが無きにしもあらずではあったが、演奏を聴いているうちに、なるほどこりゃ歌集が必要だなと実感した。なにしろ島の歌は歌詞カードでもないと、なに歌ってんのかわからないのである。方言恐るべし、なのである。
竹富島の定番、『安里屋ユンタ』から始まり、島の民謡から替え歌、なんかよくわからない創作歌と、次から次へと歌は続く。途中からはオバァも加わり、2本の三線のかけあいとなった。息がぴったりとあった絶妙のコンビネーションに大感動、といけばカッコイイのだが、実際は、歌詞を忘れたり調子がはずれたり、まあいろいろである。でもそれもまた味、八重山のてぇげぇぶりな演奏なのだと思う。
三線の音色が心地よい。ゆったりとした歌はもちろん、速いテンポの歌もどこか人を和ませる。α波でも出てるのか。オレの心の琴線に一番触れた歌は「安里屋ユンタ」。いつかどこかで聞いたことのあるメロディとフレーズが懐かしさにつながっているのかもしれない。
さて、3、40分も演奏が続くと、オジィはさすがに疲れたらしく、「ここからはお前が弾きなさい」と、半ば強引にネェネェにバトンタッチ。平均年齢が若返り、場は今まで以上に活気づく。
盛り上がる宴会。酒はどんどん進む。手拍子足拍子、しまいには全員見よう見まねでカチャーシーを踊り、笑う。
大騒ぎなのにどこかのんびりとした気持ちのいい宴は夜遅くまで続いた。