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夕食を食べ終わり、さて夕日でも見にいこうかと思っていたときだ。オジィが「今日、コンドイ浜で結婚式がある」と言った。状況がよくわからないが、なにやら楽しそうな予感がする。とにかく行ってみることにした。
いろいろと聞いてみるとこういうことらしい。
なんでも島の小学校の先生が結婚することになった。ならば島をあげて祝ってやろうじゃないか。ひとつパーッと盛大に行きましょうねぇ。
なるほど、そういうことか。なんか関係ないこっちまで嬉しくなるような話ではないか。
夕陽がどんどん茜くなり、紫くなり、そして陽が沈み、それでも始まらず30分遅れのウチナー時間で式はスタートする。海から子供達が引っぱるボートに琉球伝統の衣装を身にまとった新郎新婦がやってくる。ふたりは浜に降り立つと、キャンドルサービスならぬ松明サービスで、舞台(昼間は海岸の唯一の四阿だったところ)に導かれ、そして式は、いや祭りは始まった。それは本当に島をあげてのお祭り騒ぎといってよかった。みんな陽気に盛り上がり見ているほうまでほわんと楽しくなってくる(決してご相伴に預かった缶ビールのせいではない… かな?)。
こういう席にお定まりの、学校の同僚のチアガール(チアボーイ?)パフィや、中学生のへったくそなグレイもご愛敬だが、もちろん島ならではの出し物も満載だ。竹富島の全国的に有名な種取祭の予行演習的ダイジェストが見ることができたのは本当にラッキーなことで、なにしろ10月の種取祭本番にはとんでもないくらいに人がこの小さな島にやってきてのんびり楽しむことが難しいらしいからだ。
そして、もっとすごいのは琉球国祭太鼓を最前列ガブリ寄りで見ることができたことだ。この一団、沖縄地方でも恐ろしく有名な演奏グループなのだが、新郎が関係者ということでわざわざやってきたとのこと。そのパフォーマンスはやはりプロ。その迫力に目を離すことができない。大太鼓小太鼓の激しいリズム、勇ましい踊りは夜空と海に吸い込まれていった。
最後は祭太鼓の演奏に合わせてそこにいた全員が踊るカチャーシーだ。老いも若きも関係なし、実にクライマックスにふさわしいではないか。しかし、島の人たちは本当に全員カチャーシーを踊ることができるのだねぇ。確かに一見簡単な踊りなのだが、しかしにわかで真似してもなんかピンボケな感じにしかならない。あんなにピシッと決められない。なんかすごく悔しく思うオレはヘンかしら。
とにかく、そんな騒がしくも暖かい気持ちに満ちた式だった。