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竹富島滞在もとうとう最終日。熱射やハプニングに翻弄されてトゥルバっていたが、ようやく観光らしいことをしようじゃないか。というわけで、水牛車の島内観光ツアーにまざることにした。島内めぐりといっても、もともと狭い島のこと、2日間ですでに歩き回っている場所ばかりである。だからこれは目新しい観光というよりは、自力で汗かき熱にやられない散歩に近い。もちろん、水牛の引く牛車に乗ったという経験値アップもある。
水牛は1頭だけではなく、何台かが少しずつ異なったルートで回っている。狭い路地をぶつからないように、のろのろと進むのはまさに散歩の速度。でも今回は屋根があり、そして多少なりとも高い位置にいるせいで(気のせいかもしれないが)風も感じる。うん、気持ちいい。牛車の揺れにあわせて、眠くなってくる。
御者役のオジィは竹富のまちなみや名所旧跡を解説しながら牛を進める。しかしこの水牛が本当にのんびりした歩みなのだ。ところが、対するオジィはこれまたかなりせっかちだったりするものだから、説明の途中でも「早くしなさい!」「ほりほり!」と、鞭をいれつつ怒鳴るのだ。
なんだかあんまり大事にしてないんじゃない? そんな印象を受けた。もちろんそんなことはないのだろう。せっかちはこの地方の特徴でもあり、だからイコール愛情がないとかとは違うのだろう。
第一、対する水牛も慣れたもので、適度にオジィの声をあしらいながら“大”や“小”を大地に返しつつ、マイペースで進む。
そんなオジィと水牛の緊張感溢れる(?)やりとりは、おおむねオジィの勝利だったが、唯一オジィのいうことをきかずテコでも動かなかったのは、発着所の手前でだった。到着直前だというのに一歩も動かなくなった。オジィがどんなに脅しても頑なにがんとして譲らない。それもそのはず、そこは水道口があり、ホースで水牛に水をかける場所だったのだ。
そのときの牛の心を代弁するならば「水浴びさせてくれなきゃ絶対動くものか!」ようするに水牛もその暑さにホトホトまいっていたとうことだ。