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伊豆大島で海彦山彦  …1

 海彦編1 むかうは東京の離島   

 八重山旅で島の魅力に取りつかれてしまった。帰ってきたばかりだというのに、旅心の火はいっこうに収まろうともしなかった。猛烈に暴走しまくっていた。
 こうなればもはや行くしかない。というわけで、近くて遠い東京都、大島へ向かうことになった。
 同行するのはうずまきレンズ会の面々、アングラー長丼氏と山蟲先生南亭氏(例によって以下敬称は略する)。とはいうものの別に撮影旅行というわけではない。もうただ純粋に日常からの脱出を計ったのだ。う〜ん、疲れているのかしら。

 とにかく発作的に出発を決めたものだから予備情報の収集も事前予約もなし。とりあえず行ってしまえばなんかあるだろう、なんとかなるだろうというぶっつけ本番的な2泊3日である。もっとも熱海から何本もの定期航路船があり、数時間で行けてしまうという距離と、シーズンオフだからさほど混んでいないだろうという冷静な判断(?)があったことはいうまでもない。

 無目的。といったが実はまったくナシというわけではない。大島といえば三原山、三原山といえば裏砂漠。我々は、少なくともボクは、その裏砂漠を見てみたかった。
 もうひとつ忘れてはならないのが温泉の存在だ。島の西、岸壁に突き出した露天風呂につかり夕日を眺める。このふたつだけは絶対に欠かせないだろう。
 あとはまあ。島だけにうまい魚料理でも食えればいいや、ただそれだけであとは別にいいんだよなぁ。あとうまい地酒、焼酎があって、気持ちのいい宿が見つかればそれだけでいいや、それと… と実に謙虚な希望を胸に秘めつつ、船はあっという間に大島へ到着したのだった。


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