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伊豆大島で海彦山彦  …2

 海彦編2 飛び込みだって大丈夫   

 島に到着していの一番にしたことは宿を見つけることだった。大町港脇の観光案内所に飛び込み、さっそく民宿を探してもらう。この時期、さすがに海水浴客などでごったがえすことはない。しかし海釣の客は思ったよりも多く、どこもガラガラというわけではなかった。なんて書くと、「なかなか宿は見つからず野宿の覚悟をしたところ危うくセーフ」というような展開にならないと納まりがつかないのだが、そこまで混んでいるわけはない。なんのことはなく、2軒目で無事、宿は確保できたのである。

 紹介してもらったのは交楽荘という港から歩いて5分ほどの宿だ。なんだ近いじゃんということになるが、実のところ港付近の民宿はどこも5分近辺に集まっているので、どこになってもさほど差がないというのが真相のようだ。
 さて、そんな成りゆきで決めた宿だが、結果的にはこれが大正解。部屋は北側で陽光はダイレクトに入ってはくれないのだが、その分、山からの吹き下ろしの風が心地好く入ってきて実に快適なのだった。その日の天候は大快晴。歩いているだけでも汗が吹き出してくる、まるで夏、とまでは行かないものの残暑厳しい9月の陽気くらいの暖かさであった。だから部屋につくなり横になりついウトウトと寝入ってしまう。極楽。

 夕刻、今回の旅の目的その1を達成すべく露天風呂に向かう。(混浴なので)水着着用の露天風呂なので、風呂に入っているよりは温水プールに浸かっているような気分である。水着着用風呂ははじめてではないのだが、どうにも違和感を克服できないのは温泉好きのなせる技かはたまた単なる露出癖の賜物かはとりあえず保留にしておいて、それでも体の節々からいろいろなものが抜けていくのを実感した。あいにく西の空には雲が出てきてしまい水平線に沈む夕陽を眺めることはできなかったが、とりあえず気分は上々であった。

 さて、話は大正解の民宿に戻る。この宿にして心底ラッキーだったと感動したのは、夕食の時なのだった。とにかくすごかった。とりたての魚、大島名物たかべの塩焼きから刺身から新鮮かつ美味いことこの上なし。もちろん魚だけじゃなく天ぷら、一人鍋(蛤とホタテの蒸し焼き)と量も質も十分過ぎるもので、もう大満足なのだった。
 ボクが一番美味ぇ〜、と思ったのは天ぷら。特に明日葉の天ぷらがね、絶品。揚げる油も椿油使用の大島純正仕様。これはもう地のもの好きには垂涎ものである。というよりも本当に涎を垂らしてしまった。ちょっとはしたなかったと反省した。
 さきに書いてしまうが2日目の夜は今度は地のものをふんだんに盛り込んだ釜飯なのだった。もちろん刺身などもてんこ盛りで、またまたいうことなしなのだ。
 そんな感動の夕食はそれで終わりではなかった。デザートがこれまたびっくりで、宿の裏庭で採れたパッションフルーツ。別に栽培しているわけじゃなくて、たまたま植わっていて、たまたま時期だったから出しましたというのが真相らしいが、ともあれ酸味があって食をしめるに相応しい果物だった。それにしてもパッションフルーツが庭木だなんてやはりここは南国伊豆七島なのだなぁと思ったのだった。


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