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伊豆大島で海彦山彦  …3

 海彦編3 小腹が空いても大丈夫   

 さて、そんな食いに食った夕食ではあったのだが、しかしアルコール的にはちょっと足りなかったのである。だってビールだけじゃねぇ。というわけで、夜、宿を抜け出して飲みに出かけることにした。ところが長丼はそうそうに寝てしまい、つついても1ミリも動かない。
「むにゃむにゃ…」とお約束のような寝言までいう始末。
 ということで、ボクと南亭の二人でさしつさされついきましょうということになった。が、大島の夜は意外と早い。というか店自体ほとんどない。繁華街がないというちょっとびっくりな町なのである。いったい地元の皆さんはどこで飲んでいるのか。自分ン家なんだろうな。昔の自分たちなら昼のうちに酒屋で地酒を買っておいて、宿で一献というパターンであったのだが、ここ最近は地元の飲み屋に行ってという、一歩大人になった(?)飲み方をしているので、これにはちょっと困ったのだった。しばし徘徊いた末、昼間見つけていた寿司屋が夜遅くまでやっているので、そこに行くことにした。寿司屋といっても寿司メインの割烹居酒屋というわりと小洒落た敷居の低いいい雰囲気の店だ。しかも宿から歩いて数分、走れば1分もかからないそんな距離で、じゃあはじめからそこに行けばよかったじゃないかということなのだが、確かにそれはそうなんだけれどもっと別に店がないかなぁと思ってちょっとまわってみただけなのだ。もちろん言い訳だが。
 そんなささやかな困難の末の店だが、これがまたまた大当たり。素材の種類よし、おいてある酒の種類よし。刺身はもちろん美味いが、つくりものもけっこうこだわりのある逸品ぞろいで(だって塩釜焼きやってる店なんてそうそうない)、かなり質の高い店だったのだ。あまり気に入ったので次の夜も行ってしまった。もちろん話をきいてうらやましがった長丼が率先して、というのは言うまでもない。


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