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あたりの景色を満喫し、強い日差しに夏の余韻を感じつつ砂漠を行く。
いくつかの砂丘を越えると突然目の前に広葉樹の林が現れた。砂漠が終わったのだ。時間にして1時間弱。意外と楽勝の、しかし実に充実した山行だった。
問題はどうやって宿へ戻るか、だ。島をぐるりと道路がめぐっている。そこへ出ることができればバスに乗ることができるだろう。と思っていたのだが、しかしバス停がどこらへんにあるのかはわからなかった。なにしろ島のどの辺りに到達したのか正確なところはわかっていないのだ。とりあえず先を進むにしても、右と左ではどちらが早いのだろうか。
たまたま犬を散歩に連れてきていた島の人がいた。ラッキーとばかりに現在地とバス停の位置を聞いてみた。
なんということだ。どうやら右も左も同じ程度に遠いらしい。ちょうど中間に出てしまったのだ。それでもまだ左のほうが近いというようなことなので、道にでると左へ進路をとる。アスファルトの道は砂漠以上に熱かった。いったいどのくらい歩けばつくのだろう。地図と地形を照らし合わせると、どうも2時間近く歩かなければならないようなことになっている。3人は頭を抱えた。まさかこんな結果がまっていようとは。もしかすると右のほうに行ったほうがよかったんじゃないのか。
そのとき、先ほど道を訪ねた人たちの乗る軽自動車が追いついて来た。途方にくれている我々を見つけると車を止め「よかったら乗っていきますか?」と提案する。願ったりかなったり、感涙にむせび泣く3人だった。
「ま、犬がいるんでこんなことになってますけれど、それでよければ」
車の後部座席は外され、そこでゴールデンレトリバーがさかんに尻尾を振っていた。もちろん悪くない、全然悪くない。
「もう全然オーケーです、乗せてください」
というわけで我々3人はバス停まで送ってもらうことができたのだった。
実は大島の路線バスは島を一周してはいないのだった。3分の2周。我々が出たところはちょうどその歯抜け部分の真ん中だったのである。ちなみに翌日、レンタカーで島内一周をしたのだが、本当に右に行っても左に行ってもバス停はとんでもない距離だった。歩いていたら本当にどれだけの時間がかかったかを想像するだにゾッとする。